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伊予市パーフェクトガイド

伊予市ガイド vol.233【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】 第48回:五色浜公園散策ー(6)

ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪

 

第233回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの

『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』

第48回五色浜公園散策シリーズ6回目です♪

 

お楽しみください!

五色浜公園散策シリーズ6回目。今回は、公園内に存在する文学碑を巡ってみることにしよう。

 

■しぐれ塚(松尾芭蕉句碑)

(写真 松尾芭蕉句碑「しぐれ塚」)

 五色浜公園入口、五色浜神社の手水舎のグラウンド側奥手に、自然石による松尾芭蕉の句碑が建てられている。一名「しぐれ塚」という。
 石に刻まれた句は非常に読みづらいのだが、「介ふ者かり ひともとしよ礼 者つ志く連(けふばかり ひともとしよれ はつしぐれ)」である。碑文のままでは、意味を掴みにくいので現代文に直しておこう。「今日ばかり人も年寄れ初時雨」。何となく言わんとすることはわかるが、これが俳句の難しさ。余計な言葉を徹底的に削ぎ落し、深い意味合いをて五七五の17文字の中にギュッと圧縮して落とし込むのだから、俳句ド素人の僕なんかには、句意を正確に読み解くことは容易ではない。多少解釈を誤っているかもしれないが、「君の若さは素晴らしいものだが、今日の初時雨ばかりは若者には味わい尽くせないだろう。しかし、この初時雨の情緒を年老いた気分でどうか味わって欲しい」といった意味合いであろう。

 

 「初時雨」は、その年の冬に初めて降る時雨のことで、初冬の季語。立冬を迎える頃に降り、冬の始まりを告げる。降りそうで降らない、降ってはすぐやむという、短く儚い雨の様子に、冬の到来の寂しさや無常感、そして初めてという華やぎが込められているようだ。「初時雨」という、たった3文字の中にこのような奥深い意味が込められているとは。俳句恐るべしである。
 この句は元禄5年(1692)10月3日の作のようである。旧暦10月3日は、新暦で言えば11月の中旬~下旬。立冬を過ぎ、季節は秋から冬へと移りかわる時期だ。この頃に降る雨は、晴天なのに急に雲が広がって雨が降り出し、降り出したかと思うとまた急に止むといった特徴がある。そんな気紛れな雨が「時雨」だ。今まで、こんなことは意識すらしなかった。今年の秋には時雨を意識し、芭蕉の言わんとすることを体感したいものである。


 さて、この句碑が五色浜にあるということは、この句がここで詠まれたということか。松尾芭蕉はこの地に来訪したことがあるのだろうか。調べてみるが、芭蕉がこの地を訪れた様子はない。どうやらこの句は、近江彦根藩士であり狩野派の絵画と親しんだ俳人・森川許六(きょりく)の許六亭で開かれた連歌会に芭蕉が訪れた際の挨拶詠らしい。
 なお句碑の建立年は不詳だが、句碑の傍らに設けられている説明板によれば、芭蕉170回忌の文久3年(1863)、郡中地方の俳人たちによる建立と推定されているとのことである。

 

■山田十雨句碑

(写真 山田十雨句碑)

 五色浜公園の松林の中には、句碑2基、歌碑1基が建てられている。そのうちの一つが、山田十雨の句碑である。
 「雷鳥や下界は人の住む処」という句が刻まれている。その句の右側に「花の本十雨」という俳号が刻まれている。
 山田十雨は、明治15年(1882)11月、伊予市上吾川向井原に生まれ、栄町で理容業を営んだ。16歳から俳道に励み、26歳の時に松山市道後の花の本豊臣庵・水下静楽に師事して俳句を学んだ。五穀豊穣に肖って五風庵十雨と号したという。この碑に刻まれた「花の本十雨」という俳号は、水下静楽の門下にあったことの表れであろう。
 この碑に刻まれた句は、昭和17年(1942)、四国八十八ヶ所霊場巡拝の際、雲辺寺で詠んだものらしい。雷鳥は現在では国の特別天然記念物に指定されている絶滅危惧種の鳥だ。僕なんかは、信州のお土産で貰った「雷鳥の里」というお菓子でしか雷鳥の存在を思い起こさないし、雷鳥は標高2000メートルを超えるような山岳地帯にしか生息しないんだろうなといったイメージしか持ち合わせていないのだが、果たして四国にも棲息していたのだろうか。雲辺寺は四国霊場中で最高地点に位置する寺院であるが、標高は約920メートルであり、さほど高い山ではない。ここに雷鳥がいたとすれば、松山北部の高縄山とか、伊予市であれば障子山に棲んでいてもおかしくない。絶滅危惧種だから、四国で目にする可能性、僕が確認できる可能性は皆無に等しいのだろうが、できれば死ぬ前に一度ぐらいは肉眼でそのお姿を拝見したいものだ。


 余談が過ぎた。俳句の話に戻そう。


 この句碑は、昭和31年に建立されたようである。建立者は碑からは読み取れなかったが、文献によれば、「五風庵十雨山田蔦右衛門五代建之」と刻んであるらしい。「五代」とあるので、十雨の後裔が建立したものかとも思ったが、十雨は昭和35年(1960)に没しているのだから、十雨自身が「五代目当主」で、本人が建立したと考える方が自然なのかも知れない。
 山田十雨は、74歳で病気で倒れるまでに一万句を詠んでいるらしいが、彼の句をこの句碑以外で見ることは容易ではない。句集などが見つかれば良いのだが、それも余り期待できそうにない。だが、昭和12年(1937)に正一位稲荷神社に奉納された「五風庵十雨宗匠立机記念句輯」奉納額に、十雨の句が数点記されている。興味ある方は稲荷神社に参拝されてみてはいかがだろうか。

 

■玉岡士郎句碑

(写真 正岡士郎句碑)

 山田十雨の句碑のほど近くに、正岡士郎の句碑がある。平成16年11月26日に風船俳句会が建立したものである。
 「風船に縋(すが)りて眠る子が歩く」と刻まれている。浅学な僕には、句意がどうにもつかめない。「『眠る子が歩く』って夢遊病の子ってこと?」とか余計なことばかり考えてしまう。こんな調子なんで、これ以上のことを書き連ねるわけにはいかない。句碑の存在の紹介だけに止めておこう。

 

■大西カズエ歌碑

(写真 大西カズエ歌碑)

 青石の自然石に黒御影石のプレートが嵌め込まれた歌碑が建てられている。大西カズエの歌碑だ。
 建立年代が新しいこともあって、碑文は非常に読みやすい。

 

 「亡き姑が ひと代使ひて 刃先光る 田鍬に砕く 春の土くれ」という歌が刻まれている。今は亡き姑が長年使用した鍬は刃先が砥がれて光っている。この鍬で春の田起こしをしている。農作業はこうして連綿として営まれている。そんな情景がありありと浮かんでくる歌だ。これ以上の余計な解説は不要だろう。
 プレートの左端には、「子規顕彰百年祭全国短歌大会特選」と刻まれている。なるほど、確かに秀逸な歌だし、選ばれてもおかしくない。と、短歌を嗜まない僕が偉そうなことを口走るのは甚だ烏滸がましいのだが……。


 ここで気になるのは、「子規顕彰百年祭」「全国短歌大会」というワードである。果たして何時行われた行事なのか。これが気になる。大西カズエが特選に輝いたのは何回目の全国短歌大会か、これも明確にしておきたい。
 まず「子規顕彰百年祭」とあるが、これは「生誕百年」?それとも「没後百年」? ネット検索してみるものの、意外と明確な結果が得られない。気になり始めると、調べずにはいられなくなってしまう。
まず正岡子規の生没年を再確認してみる。生年月日は慶應3年(1867)年旧暦9月17日(新暦10月14日)、没年月日は明治35年(1902)9月19日だ。従って、「生誕百年」は昭和41年(1966)となる。なるほど、松山市年表を繙いてみると、この年には「子規・漱石・極堂生誕100年祭」が行われている。同様に「没後百年」は平成13年(2001)となる。この年に「子規没後100年記念 子規百年祭」が行われている。従って、「子規顕彰百年祭」は「没後百年」の年に行われたことになる。
 この時の「子規顕彰全国短歌大会」は何回目だったのか。令和7年(2025)が第43回だったので、逆算すれば、この大会は昭和58年(1883)から始まり、「子規顕彰百年祭」の時は第19回だったことがわかる。「碑に和暦あるいは西暦で大会の開催年が刻んであれば苦労せずに済んだのに……」と恨み節を言いかけたが、苦労したからこそ色んなことを知ることができたのだから良しとしておこう。


 余談っぽい話が続いたが、歌人や碑建立の経緯についても述べておこう。といっても、文献やネットでは情報が得られないので、碑の背面に刻まれた碑文に頼るしかない。

「大西カズエ氏は、上唐川に在住。
歌人 三好けい子先生(歌誌「青垣」の選者、編集委員)に師事。
伊予短歌会の発起人として多年に亘り、伊予、松前短歌会のリーダーとして活躍し、愛媛歌人会、松山歌人会の理事並びに選者を務める。
歌碑の歌は夫の母親を詠んだもので子規顕彰百年祭全国大会特選作である。
また明治神宮全国短歌大会特選、日本歌人クラブ秀作、NHK全国大会大賞、国民文化祭大賞等がある。
平成十八年十月吉日 伊予短歌会」

と刻まれている。
 この文を頼りに、大西カズエの別作品を探してみたのだが、「春の大祭奉祝明治記念綜合短歌大会」で特選となった歌、「朝早き畠んぼわれに出勤の子はクラクション鳴らしてゆきぬ」ぐらいしか見つけることができなかった。伊予短歌会に問い合わせれば、解決しそうな問題ではあるが、自力解決しないと気が済まない性分なので、もう少し悪足掻きしてみようと思っている。


(次号へ続く)

◆お店の詳細◆

店名:こたろう博物館

住所:愛媛県伊予市灘町60-3  

電話:(非公開、詳しくは店頭で)

営業時間:10:00~19:00

定休日:火・水曜日

(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)

HP: http://kotaro-iseki.net

FB: https://facebook.com/kotaro-MLA


来週あたりついつい行きたくなる

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イラスト:山内ひろみ

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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