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伊予市パーフェクトガイド

伊予市ガイド vol.189【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】 第33回 樹木を追う-えひめ森林公園を歩いてみる-(2)

ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪

 

第189回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』シリーズ第33回目です♪

巨木を見る

 前回、「木々を眺めながら歩く」ということで、公園内で観察できる多種多様な樹木を、散策路に従って具に調べながら歩いてみた。

100種類をゆうに超える樹木。その一本一本の名前を判別できるスキルを養うには、学び取るのに相当の気力を要するだろうし、途轍もなく時間がかかりそうだ。

花が咲くものならば、その花の形や色合い、そして香りなどの情報を紐づけながら、しっかりと記憶に止めることができるだろうが、花のない季節に訪れようものなら葉っぱの形状や幹の樹皮の様子など、図鑑との照合も難しいような情報を手掛かりに調べていかねばならない。途方に暮れてしまう。

 

 まあ、植物学者を目指すつもりもないのだから、特徴のあるもの、感性に訴えられたものからつまみ食いすればいいだけの話だ。その辺は適当に考えることにしよう。

 とりわけ、「巨木」「老木」といった類には、大いに興味をそそられる。数百年を生きながらえてきたもの。神々しい。何かしら目に見えない神秘的なパワーってものが放出されていそうだし、傍にいるだけで、何となく恩恵を授かれるんじゃないかとの期待感も生まれる。

 

 えひめ森林公園内にも、大木・古木がいくつか存在する。クヌギ、クマノミズキ、エドヒガン、コナラ、ハゼノキ、ホルトノキ、ヤマザクラ、エゴノキ、ヤマモモ、ヤブニッケイ、アカマツ、サカキ、リョウブ、カクレミノ、カゴノキ、ウリハダカエデ、ウラジロノキ、クロガネモチ、カナクギノキ、サワラ、計20種の巨木を巡るコースが設定されている。

総じて樹高は10~25m、幹周は100~250cmといった規模のもの。樹齢は判然としないが、最古のものでは150年ぐらいと推定されるものがある。各樹木のプロフィール概要や生えている場所については、えひめ森林公園のホームページを参照するか、あるいは公園入口の管理事務所に問い合わせると良いだろう。

 

 20種類ぐらいの数ならば、しっかり観察しようという気力が萎えることもない。花のない季節に訪れても、葉・樹皮・枝ぶりなどを見て楽しむことができるだろうし、これらは樹種判定スキルを養うのに好都合な材料といえるだろう。

 

 とはいえ、全部を巡ろうと思えば、歩くだけで2~3時間の山歩きを要する。ましてや、各樹木をじっくり観察するとなれば、最低でもプラス1時間は必要と心得ておく方が賢明だ。散策路とはいえ、山の南側のルートは歩く人が少ないせいか、やや荒れている場所も多い。訪ね歩いてみるなら、長袖・長ズボン・トレッキングシューズぐらいの身支度は整えておくべきだ。歩いていると喉も乾くし腹も減るだろうし、飲料・食料の準備もそれなりに怠りなく。

写真:エドヒガンの巨木。えひめ森林公園内では最古級。

キノコや観察しておきたい

 キノコというもの、一般的には食物としての興味しか持たれないように思える。まあ見栄えの良いキノコもないわけではないが、ほとんどのキノコは、花のような美しさを持ち合わせてはいない。だから「キノコ鑑賞」と銘打って観察することなんて、博物館や学校主催の観察会でもない限り、個人で思い付いて実践しないだろう。 

 

 やはり、食い気優先で探すことになる。しかし、公園内に食用のキノコは果たして存在するだろうか。公園内には確かに「しいたけ園」のエリアはある。しかし、勝手に採集して良いようなものではない。

 それ以外のエリアではどうか。人気のない散策路を歩いてみても、食用に適したキノコなど、目にすることはほとんどない。あるのは、サルノコシカケの仲間みたいなキノコばかりである。

写真:ヒイロダケだろうか

 写真は、ヒイロダケだろうか。見るからに毒々しい。とはいえ、有毒というわけではない様子。無味無臭であるらしいから、食べようと思えば食べられるかもしれないが、非常に硬いようで、美味しくもないなら無理して口にする必要もない。食用キノコとしての価値は、どうにも見いだせない。

 まあ、仮に食用のキノコが生えていたとしても、ここは皿ヶ嶺連峰県立自然公園の一部である。許可なく植物を採取することは法令違反となるのでご注意いただきたい。キノコだけでなく、植物全般についての話なので、くれぐれも園内での植物採集は慎むように。

苔も観察しておきたい

 一方、苔なんかは、じっくり眺めるとなかなか美しいし、探して歩くのもアリなんじゃないかと思ってしまう。

 実際、久万高原町の笹倉湿原にあるウマスギゴケ群落なんかは、片道3時間ぐらかけても登山して眺めたい風景を生み出しているし、西予市宇和町信里にあるギャラリー喫茶・苔筵(こけむしろ)は、林間にコケが敷き詰められていて、散策路を歩くだけで、幻想的というか神秘的というか、とても清々しい気分になる。

 

 苔は、苔玉作りなど、インテリア的な価値も見出すことができる。盆栽では、保水性の維持・土の流出を防止するため、見栄えを良くするために苔が用いられたりもする。

 このような理由から、苔はキノコとは異なり、市民権を得やすいように思える。こんな風に言い放ったり、ディスりまくっていると、何だかキノコファンに怒られてしまいそうだ。いやいや、自己弁護するわけではないが、キノコに対しても可愛いとか美しいといった感情を持ってしまうことはある。

 

写真:苔の隙間から姿を現すヒナノヒガサ

 写真は、苔の観察途中で見かけた、ヒナノヒガサというキノコである。このような、苔の隙間からニョキっと傘を出す姿は、何とも愛らしいではないか。苔とキノコの絶妙なるコラボ。何となく、「妖精の棲み処」という印象さえ持ってしまう。このような小さな存在も見逃さないようにしておきたい。

ついでに地衣類も観察しておきたい

 以上に述べたように、キノコや蘚苔類は眺めるだけでもなかなか楽しい。しかし、地衣類はどうだろう。地衣類という言葉を耳にしたことがないという人も少なくなかろう。名前も知らないならば、目を向けることもないってものだ。

 

 地衣類とは何か。一口で言えば、「菌類と藻類が共生関係を結んでできた複合体」「藻類と共生する菌類」だ。「***ゴケ」と称するものも多種存在し、一般に「コケ」と認識されることも多いのだが、蘚苔類と地衣類は全く異なるものだ。

 菌類と藻類の共生とはどういうことか。平たくいえば、藻類は、太陽光を得て光合成しエネルギーを作る。藻類はそうして生成した栄養を共生する菌に提供する。一方、菌類は藻類が生きやすい環境を提供する。このように、お互いに足りない機能を補いあって生きている。なんとも微笑ましいではないか。

 地衣類は、栄養の極めて少ない、いや、全くなさそうなコンクリート壁などにも生着しているが、木々の幹や土中から露出した根の表面などにも棲み付いていることが多い。樹木は、自分の樹皮などに、蘚苔類、これらの地衣類の棲み処として樹皮を無償提供している。自分にとって何ら得することはなかろうに。

 

 このような植物たちの相互協力体制に思わずはっとしてしまう。損得勘定で物事を判断しがちな我々人類。植物たちの共生を見習いたいところだ。

 さて、具体的に地衣類はどのような姿をしているのか。形態的には、樹状・葉状・痂状の三つに分類される。どれも、ぱっと見では、お世辞にも美しいとはいえない。どちらかと言えば「気持ち悪い」という印象の方が先に立つ。

写真:地衣類-モジゴケ

 写真は、痂状地衣類の一つ、モジゴケ。

素人の僕には、地衣類の名前の同定は難しい。見た目がほぼ同じだとしても、「これは、***だね」なんて軽々しく口にできない。日本では二千種ほどの地衣類が確認されているようだが、地衣類が放出する化学成分やDNA塩基配列などを照らし合わせなければ、厳密に判定することはままならないようだ。従って、単に「モジゴケ」と言い放ってしまったが、これも完全ではないことはご承知おきして欲しい。

 

 何やら小さい幼虫みたいなものがウヨウヨしているような見栄えで、まさしく「気持ち悪い」代物であるが、「モジゴケ」という名前を知ってしまえば、何となく古代文字の集合体という感じがして、神秘的にも思えてくるじゃないか。……えっ?そんな感情を抱くのは僕だけ……?

何やら不思議なものも目に留まる

 木の根元に何やら茶色の球形の物体が集中している。一見、木の実みたいだ。しかし、木の実にしては様子がおかしい。根元に集中していて、木から離れた場所にはまったく姿が見えない。いったいこれは何だろう。

 木の根元には洞(うろ)らしきものがある。ひょっとして、リスがここに棲み付いて、排泄物を外に撒き散らしているのではなかろうかと勘繰る。しかし、リスが自分の棲み処の入り口を糞まみれにするとも思えない。

写真:ボクトウガの糞

 答を明かせば、これはボクトウガの幼虫の糞である。

 ボクトウガは漢字で表すと「木蠹蛾」。見たこともない漢字だが、蛾の一種であることは掴める。

このボクトウガの幼虫は、樹幹に穿孔して棲み付き、木に樹液を出させ、そこに集まってきた虫を捕食するという。一見元気そうで何気なく聳えている木の幹の中には、実は強かな虫が巣食っていたのだ。多くの幼虫が樹幹の一部分に集中して穿孔しようものなら,その部分の強度が下がり、大風などを受けて折損する危険性がある。建築材として用いられるような木にも棲み付くらしいので厄介者なのだ。

 

 勉強になった。植物だけではなく、そこに棲息する生物にもしっかり目を向けねばならないとしみじみ思った。


 以上、2回にわたって、えひめ森林公園を題材として、自然観察の楽しみ方みたいなものを紹介した。

事細かに記そうと試みたものの、とても紹介しきれないほど多種多様な植物がここでは観察できる。

これほどの生物の宝庫が、他にどれだけあろうか。身近で手頃な場所ゆえ然程気に留めないかもしれないが、このような場所が近所にあることはとても幸せなことで、誇らしいと思っても間違いないのだ。

 

皆さんも、アスレチックや散歩に興じるだけでなく、えひめ森林公園内を行く先々で足を停めつつ歩き、小さきものにも目を留めながら、自然を余すことなく堪能してもらいたい。


 

◆お店の詳細◆

店名:こたろう博物館

住所:愛媛県伊予市灘町60-3  

電話:(非公開、詳しくは店頭で)

営業時間:10:00~19:00

定休日:火・水曜日(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)

HP: http://kotaro-iseki.net

FB: https://facebook.com/kotaro-MLA

伊予市「こたろう博物館」館長いせきこたろうさんの【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】連載紹介♪

◆「伊予市ガイド vol.189 第32回 樹木を追う-えひめ森林公園を歩いてみる(1)」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/94120

◆「伊予市ガイド vol.183 第31回 樹木を追う-天然記念物を眺める」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/93133

◆「伊予市ガイド vol.180 第30回 樹木を追う-メタセコイア」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/92223

◆「伊予市ガイド vol.177 第29回 樹木を追う-ツツジ」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/91044

◆「伊予市ガイド vol.174 第28回 マンホールの世界」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/90133

◆「伊予市ガイド vol.171 第27回 寺に詣でる-(5)」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/89039

◆「伊予市ガイド vol.168 第26回 寺に詣でる-(4)」

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◆「伊予市ガイド vol.165 第25回 寺に詣でる-(3)」

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◆「伊予市ガイド vol.153 第21回 神社に詣でる-(5)」

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◆「伊予市ガイド vol.149 第20回 神社に詣でる-(4)」

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◆「伊予市ガイド vol.147 第19回 神社に詣でる-(3)」

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◆「伊予市ガイド vol.144 第18回 神社に詣でる-(2)」

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◆「伊予市ガイド vol.141 第17回 神社に詣でる-(1)」

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◆「伊予市ガイド vol.138 第16回 石造物を訪ねる」

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◆「伊予市ガイド vol.123 第11回 道を訪ねる-(1)~まずは国道を」

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◆「伊予市ガイド vol.120 第10回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(4)」

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◆「伊予市ガイド vol.117 第9回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(3)」

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◆「伊予市ガイド vol.114 第8回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(2)」

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◆「伊予市ガイド vol.111 第7回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(1)」

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◆「伊予市ガイド vol.108 第6回 地下を潜る路」

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◆「伊予市ガイド vol.105 第5回 川を堰き止めるものを訪ねる」

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◆「伊予市ガイド vol.102 第4回 水を求めて~川を見つめる(2)」

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◆「伊予市ガイド vol.99   第3回 水を求めて~川を見つめる(1)」

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◆「伊予市ガイド vol.96   第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」

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◆「伊予市ガイド vol.93   第1回 農村風景を眺める」

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来週あたりついつい行きたくなる

伊予市情報特集ページ

公開した『伊予市パーフェクトガイド』

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伊予市パーフェクトガイド

イラスト:山内ひろみ

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※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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