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伊予市パーフェクトガイド

伊予市ガイド vol.135【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】第15回 道を訪ねるー(5)~いにしえの道

ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪

第135回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』シリーズ第15回目です♪

 前回で、そろそろ「道」に関するネタは底がついた感を出してみたものの、じゃないかと匂わせてみたものの、まだまだネタは残っている。

今回は、旧街道を歩いてみる。といっても、内子町との境界から松前町・砥部町の境界に至るまでの距離を歩き切るほどの馬力はない。ただひたすら歩き続けるようなストイックさも持ち合わせていない。

お手軽な区間をポタポタと歩いてみることにしよう。

旧大洲街道を歩く

 国道56号・向井原交差点(JR向井原駅前)から北東に続く小道を歩いてみる。市場という集落に親戚や友人がいない限り用事がない道だ。滅多なことでは通ることはないだろう。

 この道を400mほど進むと、池堤の下に出る。新池と呼ばれる堤高5.2m、貯水量6,500㎥のため池。青々と雑草が茂るこの堤の下に、細長い1本の石塔が建てられている。

 この石には「金毘羅大門ヨリ三十二リ」と刻まれている。

 「金毘羅大門」とは、皆さんご存じとは思うが、香川県の金刀比羅宮、「こんぴらさん」の境内へと入っていく金比羅宮大門(ことひらぐうおおもん)のことだ。

 すなわち、この石は、金刀比羅宮へと旅人を誘うための道標であり、ここが「金毘羅大門まで32里」ということで、金刀比羅宮まで約126kmの位置であることがわかる。

 そう、今では何の特徴も見出せないような小道であるが、この道、昔は旧大洲街道で、かつ金毘羅街道だったのだ。

 

ここから更に北東に約100m歩くと、三叉路に至る。この三叉路にも石標が建てられている。

石標に刻まれた文字を読むと、「右谷上山道」「左金毘羅道」「弘化五戊申年三月」と刻まれており、これも道標であることが理解できる。

弘化五年は1848年。2月28日に嘉永元年に改元しているので、実際には「弘化五年三月」は存在しないが、「改元間際に彫っちゃったんだから仕方ない」ってところだろうか。そんなことを考えていると、「弘化五戊申年正月」と彫っているようにも見えてくる。

石に刻むと、未来永劫その情報が残り続けるんじゃないかと思いがちだがそれは錯覚。風化や地衣類の生着によって文字が読めない状態に陥ってしまうことは往々にしてある。読み込めるうちに、しっかり眺めておかねば。

 

さて、ここで「右谷上山道」と刻まれていることに注目しよう。「谷上山」とは、旧伊予市時代に制定された「伊予市八景」の一つで、山頂に程近い場所に約500本の桜が植わっている桜の名所だ。展望台も設けられている風光明媚な場所でもある。だが、この道標が建てられた時代には桜も展望台もありゃしない。この「谷上山」は、観光名所としての「谷上山(たがみさん)」ではなく、この地方の名刹・谷上山宝珠寺(ほうしゅうじ)の山号を表しているのだろう。そう。この道標は宝珠寺へ参詣する人への案内標として建てられたに違いない。

 

「なるほど、左に行けば金毘羅参詣道で、右に行けば谷上山参詣道なのね」

と納得しながら、右手に折れて先に進むと、高速道路・伊予ICへのランプウェイにぶつかる。ランプの下を潜り、更に先へと進めば、伊豫稲荷神社参道と交差する。稲荷神社の二の鳥居があるこの場所。向いには稲荷西集会所がある。この集会所敷地内にも道標があることに気づく。

 ここには、「正一位稲荷神社」「右こんぴら道」と刻まれている。

「ん?金毘羅道じゃなく谷上山参詣道側を選んで歩いてきたはずのに、谷上山じゃなくて金毘羅道じゃん!」

 頭の中にはてなマークが飛び交う。しかし、冷静に考えてみると、金毘羅道というのは街道の固有名ではなく、機能的な名称なのかもしれない。「この道の先には金刀比羅宮がある」というだけのことで、金毘羅道が複数あったとしても何ら不思議ではない。

 この道標は、慶應2(1866)年3月に建てられたものである。江戸期に、愛媛県内各地から著名寺社への参詣がどのようなルートを用いて行われたか。道標は、その様子を窺い知る史料ともいえよう。

金毘羅参詣道の里程標が伊予市市場から八倉にかけて随所に設けられている。単純に道標だけのものもあれば、常夜燈の形を採るものある。

この稲荷にある道標は31里半標(上吾川十合)と32里標(市場)の間に位置するものである。この道標に里程が記されていないのは、里程の区切りが悪いことも然ることながら、主たる目的は「伊豫稲荷神社への案内」であったからであろう。

 

ナビや地図を眺めながら歩くのも良いのだが、道標だけを頼りに彷徨い歩いてみるのも、いろいろな発見があり面白いものだ。何気ない風景の中にも、忘れかけの歴史の断片が垣間見えるのである。映える景色を追い求めるばかりでなく、日常空間に存在するものを丹念に眺めながらゆっくりと歩いてみようじゃないか。

他の道の道標を探す

 伊予市内にはこの手の道標が他にもあるのだろうか。旧街道あるいは固有の名前を指し示すような道標は見つからないだろうか。

その気になって探すと、意外と見つかるものである。目に留まったもの、拾い集めたものを若干写真で紹介しておこう。

 道標の具体的な位置については詳しく紹介しないが、道の名前や、背景に写り込んだものなどを参考にぜひ探し当ててみて欲しい。

左:七折道       中:上唐川本谷道/両沢鵜崎道      右:つづら道

◆お店の詳細◆

店名:こたろう博物館

住所:愛媛県伊予市灘町60-3  

電話:(非公開、詳しくは店頭で)

営業時間:10:00~19:00

定休日:火・水曜日(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)

HP: http://kotaro-iseki.net

FB: https://facebook.com/kotaro-MLA

伊予市「こたろう博物館」館長いせきこたろうさんの【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】連載紹介♪

◆「伊予市ガイド vol.132 第14回 道を訪ねる-(4)~その他の道

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/76376

◆「伊予市ガイド vol.129 第13回 道を訪ねる-(3)~市道とか

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/75466

◆「伊予市ガイド vol.126 第12回 道を訪ねる-(2)~そして県道へ」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/74761

◆「伊予市ガイド vol.123 第11回 道を訪ねる-(1)~まずは国道を」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/73821

◆「伊予市ガイド vol.120 第10回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(4)」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/72993

◆「伊予市ガイド vol.117 第9回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(3)」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/71897

◆「伊予市ガイド vol.114 第8回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(2)」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/71175

◆「伊予市ガイド vol.111 第7回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(1)」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/70419

◆「伊予市ガイド vol.108 第6回 地下を潜る路」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/69458

◆「伊予市ガイド vol.105 第5回 川を堰き止めるものを訪ねる」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/68618

◆「伊予市ガイド vol.102 第4回 水を求めて~川を見つめる(2)」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/67646

◆「伊予市ガイド vol.99   第3回 水を求めて~川を見つめる(1)」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/66679

◆「伊予市ガイド vol.96   第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/65665

◆「伊予市ガイド vol.93   第1回 農村風景を眺める」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/64697

来週あたりついつい行きたくなる

伊予市情報特集ページ

公開した『伊予市パーフェクトガイド』

はこちらから

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伊予市パーフェクトガイド

イラスト:山内ひろみ

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※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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