伊予市パーフェクトガイド
ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪
第99回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』シリーズ第3回目です♪
前回は田畑への水の供給・貯蓄源としてのため池を眺めてみた。「水の流れ」を更に突き詰めて行くと、今度はそのため池への水がどこから来ているのかが気になってくる。まあ、答えは単純に、近くの谷・川ってことになるのだろうが。
さて、ここで問題。
県下随一のため池「大谷池」の水はどこから来ているのでしょう?
大谷池は、谷上山の山塊より発する谷川の水を堰き止めたアースダムであるから、その谷川を指し示せば答えになる。
しかし、その回答だけでは十分ではない。大谷池の場合、伊予市外のまったく別の場所からも水を引っ張ってきている。意外にも、久万高原町の面河ダムからの水も流入しているのだ。
昭和20年に大谷池が完成して以降、水不足問題は大幅に改善したものの、旧伊予市全体で見ると灌漑用水量は十分ではなく、大谷池の水が利用できない地域もあった。この問題を解決するため、地元選出の県会議員・沖喜予市が、面河ダムから引水することを発案し、国営道前道後平野農業水利事業が進められた。そして、昭和45年(1970)、面河ダムからの導水が実現した。面河ダム(久万高原町)→通谷池(砥部町)→大谷池→12号水路→森川というルートで農業用水の配水が可能となったのだ。
石鎚山脈の西側に位置する堂ヶ森・石墨山南斜面から流れ出て、久万高原町内を通過し、仁淀川となって太平洋へと注ぐはずの水。その一部が、遠路はるばるこの伊予市までやってきて、田畑を潤して伊予灘へと流れ出るのだ。
遥かなる水の旅。「灌漑」用水だけに「感慨」深いじゃないか。
水利権の問題が複雑に絡むので、本来の河川流域以外への導水は困難を伴うもの。それを実現へと繋げた沖喜予市の貢献は非常に大きい。大谷池を築造した武智惣五郎と共に、将来にわたり顕彰し、語り継ぎたい人物である。
彼の頒徳碑が、谷上山第2展望台下の鞍部に建てられている。その石碑の側面には「石鎚の水よ よくここまで来てくれた ご苦労さん」という、沖喜予市の言葉が刻まれている。「こんなすごいことを成し遂げたんよ」といった驕り昂りの欠片もない、純粋な水への労い。彼の人柄が垣間見え、より一層、好感が高まるではないか。

沖喜予市翁頌徳碑(@谷上山)側面の碑文
さて、だいぶ横道に逸れてしまった感があるが、今回はお題目に掲げたように、水の流れに着目し、「川」に焦点を当てた旅を考えてみたい。
伊予市内にはそれほど大きな川はない。前回も述べたが、代表的な川といえば、中山町内を流れる中山川、旧伊予市域なら大谷川・森川、双海町なら上灘川といったところか。
どの川に足を運んだところで、美空ひばりの「川の流れのように」を口ずさみたくなるような、そんな悠大な景観には到底たどり着けない。こう言っちゃ、元も子もないのだが。
それじゃ、伊予市内では「川を巡る旅」なるものは成立し得ないのか。
いや、決してそんなことはない。伊予市には伊予市らしい川の巡り方というものがあるはずだ。
川を巡る旅の出発点として、まずは河口に立ってみることにする。

森川の河口に立ってみる
写真は、伊予市森で伊予灘へと流れ込む森川の河口から上流を眺めた風景である。水面の向こうには、この川の源流となる障子山の姿が見える。何気ない風景なのだが、河口から源流までを俯瞰できる1コマである。これは、ある意味、魅力的なことなんじゃないかなと思うのである。地図と照合しながら、
「あの山で蓄えられて湧き出した水が、右手方向に流れ、色々な沢の水を寄せ集めながら川幅を広げ、ここに至っているんだよねぇ」
といったことが容易にイメージできるのだから。
そして、源流を目指して遡ってみることもそれほど難しそうになく、数時間勝負で達成できそうな、そんな程良い流路延長であることも見逃せない。
「地理感を養うトレーニングをするにちょうど手頃な長さの川」と言えば、それなりに価値があり、川を巡る旅というものが成立しそうに思えてくる。
さて、ここで疑問が生じる。今、河口に立っているのだが、果たしてどこまでが川で、どこから海なのか?淡水と海水の入り混じる、いわゆる汽水域に立っているのだが、あの堤防の先っぽ辺りか、いや今立っている砂嘴辺りか、…と様々な憶測が入り混じる。川を巡ると決め込んだからには、川と海の境界ははっきりさせておきたい。
森川ではないのだが、それを明確に示す印が埋め込まれている河川もある。

河川端標識の例(大谷川)
測量の基準点標識のようなもので、表面に「河川端」と記されている。このようなものを発見できれば、儲けものである。もやもやとしたものがスカッと晴れ、意気揚々と旅を始めることができるってもんだ。
こうなると、河川の上流側も気になってくる。四万十川とか仁淀川など、広大で著名な川になると「源流碑」なるものが建っていて、「ここから流れ出た水が延々と旅して太平洋へと注ぐんだねぇ」と感無量になるんだろうが、ここらへんの小河川にそんな物があるとは思えない。
それでも、「何某かのそれらしき印があるかも知れない」、そんな期待を抱きながら、森川の一支川を遡ってみることにする。
川の流れを見失わないように道を選びながら、原付バイクを走らせる。段々と道幅は狭まり、舗装の程度も悪くなってくる。素晴らしいと思える景色にも巡り合えないまま、ただ淡々と川に沿って遡るだけ。
「なんでこんなことしよんやろ」と、時折自己嫌悪感に苛まれながらも、「いやいや、これは意義のある旅」と自分を奮い立たせて、ひたすら進む。
すると、よほど注意して目配りしなければ完全にスルーしてしまうであろう、一本の標柱が道端に建っているのが目に留まる。

長谷川(森川支川)の上流端標識
標柱には「上流端」と記されている。
「なるほど、ここが源流か」と感心するのも束の間、「おいおい、まだ上流があるじゃないか」と一人ツッコミを入れる。そう。川の流れは更に上へと続いているのだ。極端に川幅が狭くなっているわけでもなく、水量の変化もまったく見られない場所に「上流端」標柱は建てられている。「ここが上流端なら、ここから上はいったい何だというんだ!」
まあ、答えは至極単純で、この標柱は、物理的な川の流れの発端を意味するものではなく、河川法に基づいて愛媛県が管理する範囲を明確するためのものということだ。従って、地図上で記されている川の上端でも、実際に水が湧出を始める場所でもないということだ。
森川は二級河川であるがゆえ、幸いにもこのような標柱に巡り合うことができたのだが、準用河川・普通河川ともなると、源流や管理上流端を示すようなものは存在しない。
そこを訪ねたことを証明できるような文字とかオブジェがあればそれに越したことはないのだが、例えそんなものが存在しないであろうとも、「真の源流となっている場所を確かめておきたい」という衝動にかられることもある。しかし大抵の場合、そのような衝動は、源流探訪に取り掛かるや否やたちまちのうちに萎えてしまうものである。道なき道、時には流路に転がる岩を使っての渡渉を余儀なくされるからだ。
支川の支川の支川の支川…みたいなところをひっくるめて全源流を制覇しようなんて野望は捨てた方が良い。いくら時間が有っても足りないし、ワイルドすぎる。携帯電話の電波が入らないような場所も多く、渡渉時に沢に転落したり、骨折して歩けなくなったとしても助けも呼べない事態になりかねない。
全支流の源流を制覇したところで、誰も褒めてくれやしないだろうから、あまり無茶はしないでおこう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回は、川の上流と下流の端っこというものに焦点を当ててみた。これだけじゃ、皆さんが「川を巡ってみよかね」と考える動機付けにはならないだろうから、次回はもう少し、「川巡りの楽しみ」の各論に踏み込んでみようと思う。
◆お店の詳細◆
店名:こたろう博物館
住所:愛媛県伊予市灘町60-3
電話:(非公開、詳しくは店頭で)
営業時間:10:00~19:00
定休日:火・水曜日(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)
◆「伊予市ガイド vol.96 第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/65665
◆「伊予市ガイド vol.93 第1回 農村風景を眺める」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/64697
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※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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