伊予市パーフェクトガイド
ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪
第132回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』シリーズ第14回目です♪
国道、県道、市道と続いてきた道の世界。これ以上、まだ語ることがあるというのか。そりゃあ、ある。だって、道にはまだまだ多くの種類・多くの数あるのだから。農免道路、私道、遊歩道、登山道、畦道、獣道、道なき道…。私たちの生活空間には、様々な道が縦横無尽に入り乱れているのだから。
のっけから愚痴っぽい話になるのだが、小川を遡行したり、ため池を観察したりと、伊予市内の水辺を訪ね歩いていたときの話をしておこう。
「あんたっ!そこで何しよんぞな!」
いきなり背後から女性の声が響いた。振り返ると、推定60歳前後と思わしき女性が怪訝そうな顔つきでこちらを睨んでいる。
「いや、この小川の先にある架け橋を撮影したくて歩いてたんですよ」
と言葉を返したのだが、
「そんなん撮影してどうすんのよ!」
声のトーンは依然荒々しい。
「いやいや。この辺りの地域の研究をしてましてね。その調査の一環で、あの向こうにある橋を間近で観察したくって」
「そんなん調べてどうすんよ!何になるんよ!」
(「…何って言われても、一言じゃ説明できんし、ましてやそんなケンカ腰な物言いされるとねぇ…」)
「ここは他人の土地よ。不法侵入じゃない!」
(「えっ!川の脇の道を歩いてただけじゃん…。そんなに目くじらたてて怒んなくてもええやん……。」)
「他人の敷地に踏み込むなんて、ええ年齢した大人がそんなこともわからんの!もう少し考えて行動しなさいよ!」
(「戒めるにしても、もう少し言い方ってもんがあるんじゃない……。あんたの方こそ、ええ年齢した大人がそんな物言いある?……」)
罵倒する台詞が止まんない。マシンガンのように次々と言葉の弾丸をぶっぱなし続けてくる。まともに返す言葉もないし、あったとしてもその言葉を返すタイミングもない。「まくし立てる」とはまさにこのような状況を表すんだろうな…。
確かに僕にも落ち度はあった。その道はどう見ても公道ではないし、登記上は私有地で間違いなさそうだ。下手にモメればこっちの分が悪いのは承知している。だからこそ大抵の場合は、人影を見かけたら挨拶がてらお声がけするよう心掛けているのだけれど、今回はお見かけもしなかったし、何の罪悪感も抱かず川の畔を歩いてしまったのだ。でも、背後からいきなり罵声だもんな。
「はいはい、申し訳ありませんでした。」(←どんなニュアンスでこの言葉を発したか、皆さん、想像しながら音読してみてください。)
と言って背を向けその場を後にしたのだが、背中越しに「バカがっ!」「クソがっ!」「来んなっ!」……と果てしなく罵声が続いている。内心、腸(はらわた)が煮えくり返そうになりつつも、その場を離れ、その声がフェードアウトするのを待ちつつ、振り返りもせず歩き続けるしかない。
これは僕の「風貌が怪しい」「行動が怪しい」といった理由も含まれていたかもしれないのだが、それにしても畦道を歩いていただけで極悪犯罪者みたいな扱いはないだろう。
でも、お姉さんが罵声を浴びせまくったことで、こうして1000文字程度の文章にはなったのだから、とりあえずは感謝しておくことにしようか。
まあ、色々なお立場、色々なお考えをお持ちの方もおいでるわけで、皆さんも町歩きの際は、非意図的犯罪者扱いを受けるリスクがあるってことを頭の片隅に置いておいていただきたい。
まあ、こんなこともあって、地域に纏わる様々なことを論文やエッセイなどの文章にして発表する際には、色々と細かいことに気をつけるようにしている。扱う内容が「私的」のものに近づくにつれ、あまり細かいことやヘタなことは書けなってくる。無闇にカメラを向けたり、面白可笑しく話したり、口コミ伝播してはならないということだ。
その点、公共のモノは安心感を覚える。これは根拠希薄な僕の勝手な思い込みに他ならないが、よほど誤ったことを書かない限りは、温かく見守ってくれそうな気がする。僕に落ち度があったとしても、公共機関ならば冷静かつ寛大に受け止めてくれるものと信じている。
と、ここまで写真も載せず、文章をタラタラと書き綴ってきたのだが、そろそろ本題の「道」のことに触れていくことにしよう。今回は、「公共のもの」ということで、鉄道に注目してみる。
鉄道については、既に第5回「ダムを訪ねる」で砂防ダム上に設けられたモノラックや、第6回「地下を潜る路」で犬寄トンネル、第7回「橋を眺める~何かしらを跨ぐ路」で第1中山川橋梁・JR「愛ある伊予灘線」の鉄橋・伊予鉄道郡中線の鉄橋、第12回「道を訪ねる-(2)~そして県道へ」の国鉄通り……と、幾つかのネタを曝け出してきた。これ以上、何を語ることがあるだろうか。
まずは「駅」の風景。これは伊予鉄郡中線の郡中港駅。「こんなありきたりの写真を載せてどうする?」って感じなのだが、実はこれ、「ありきたり」ではない。いや「ありきたりでなくなっている」というのが正しい言い方だ。この風景は二度と撮影できない。
駅の南側の「郡中港駅前広場」に、大きな蘇鉄(そてつ)が生い茂っている。この蘇鉄は、昭和56(1981)年9月1日に竣工した伊予鉄郡中港駅舎を含む駅前広場の整備事業で植栽されたものだ。しかし、現在の駅舎周辺の景色を思い浮かべる、あるいは実際に見に行ってもらいたい。この蘇鉄が無くなっていることがおわかりいただけよう。
何時なくなったのか。これを正確に言い当てられる伊予市民はどれだけいるだろうか。伊予市のホームページで都市住宅課が掲載している「国鉄通りおさんぽプロジェクト2021(伊予市駅周辺公共空間活用社会実験)」の記事を読んでもらえれば、その答えは得られる。結論から言えば、令和3(2021)年8月ということになる。
見慣れた風景にも歴史がある。見慣れるような風景は、ありきたり過ぎて写真や記録には留められず、「確かこんな感じだったよね」という曖昧な記憶に終わってしまうことが多いのではなかろうか。
僕なんかは、このような「景観の変化に関する歴史」に大いに興味を抱いており、凡庸な景色にもついついカメラを向けてしまうし、些細な変化が生じた部分が「いつ変化したか」ということが無性に気になってしまう。そんなことを知ったところで、あまり日常生活にメリットは生まれないのだが、そんな性(さが)なんだから仕方ない。
伊予市の鉄道を語る上での特筆すべきことの一つとして、伊予鉄郡中線郡中港駅が「始点」・「終点」であることが挙げられよう。「何を当たり前なこと言ってんだ」って感じであるが、「始点」・「終点」だからこそ見ることができる風景があるということにお気づきいただきたいのである。
写真は始点・終点の線路末端の状態。当然のごとく、線路が途切れる。オーバーランした際はどうやって止めるのだろう。黄色いストッパーらしきものが途切れた線路の向こう側にある。果たしてこのストッパーだけで、止めきれるだろうか……などと考えてしまうが、素人が余計な心配をするまでもなく、人命を守るための緊急制動のシステムはちゃんと設けられているに違いない。
それはさておき、終点駅だからこそ見れる鉄道施設もある。その一つがテンションバランサ(自動張力調整装置)というものだ。先ほどの線路末端の奥側のコンクリート柱がそれである。コンクリート柱の上部に滑車が見え、その下にウェイトが吊り下げられている。
電車線の張力を自動調整するための装置だ。電車線とは、パンタグラフ(集電装置)を介して電車に電力を供給する電線だが、電力の安定供給のため、そして電車線の局所的な摩耗防止のためには、電車線へのパンタグラフの接触が一定の力で保たれなければならない。そのために、電車線の張力を一定に保つ装置を設けるのである。伊予鉄郡中線郡中駅の場合は、滑車式のテンションバランサが用いられる。
始発・終点駅だからこそテンションバランサを見ることができるようなことを述べたのだが、必ずしもそうではなく、伊予市下吾川あたりでも実はこの装置を観察できるので、話のタネに、その場所を探し訪ねてみて欲しい。
JR予讃線の場合も、伊予市駅が電化終点であり、同様にテンションバランサの存在を確認できる。伊予市駅から南へ進み、マルトモの近くに至った辺りに設けられている。こちらも伊予鉄郡中駅同様の滑車式テンションバランサだったのだが、久々にこないだ訪れてみると、知らぬ間にバネ式テンションバランサに更新されていた。
ここの風景もまた、知らぬ間に微妙な変化を遂げていた。いやはや、現場百遍。何度でも足を運び、じっくりと現場の風景を眺め、以前と較べて変わっている部分がないかを考え、そして感じ取らねばと改めて思った次第である。
◆お店の詳細◆
店名:こたろう博物館
住所:愛媛県伊予市灘町60-3
電話:(非公開、詳しくは店頭で)
営業時間:10:00~19:00
定休日:火・水曜日(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)
◆「伊予市ガイド vol.129 第13回 道を訪ねる-(3)~市道とか
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/75466
◆「伊予市ガイド vol.126 第12回 道を訪ねる-(2)~そして県道へ」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/74761
◆「伊予市ガイド vol.123 第11回 道を訪ねる-(1)~まずは国道を」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/73821
◆「伊予市ガイド vol.120 第10回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(4)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/72993
◆「伊予市ガイド vol.117 第9回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(3)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/71897
◆「伊予市ガイド vol.114 第8回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(2)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/71175
◆「伊予市ガイド vol.111 第7回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(1)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/70419
◆「伊予市ガイド vol.108 第6回 地下を潜る路」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/69458
◆「伊予市ガイド vol.105 第5回 川を堰き止めるものを訪ねる」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/68618
◆「伊予市ガイド vol.102 第4回 水を求めて~川を見つめる(2)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/67646
◆「伊予市ガイド vol.99 第3回 水を求めて~川を見つめる(1)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/66679
◆「伊予市ガイド vol.96 第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/65665
◆「伊予市ガイド vol.93 第1回 農村風景を眺める」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/64697
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