伊予市パーフェクトガイド
ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪
第111回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』シリーズ第8回目です♪
今回は「橋を眺める」の第二弾。
この写真は伊予市内の風景ではない。何処を撮ったかというと、松山自動車道・松山IC(松山市井門町)の近傍だ。
「あれ?『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』なのに、タイトルに反してるんじゃないの?」
「橋は架かってるけど、重信川に架かっている橋じゃん!」
そんな声がどっかから聞こえてきそうだが、別に反則技を使ったつもりはない。
重信川を横断する「重信高架橋」の全容を撮りたくて、伊予市の小山に登って見下ろしたのだ。伊予市から見た風景だから、堂々のセーフである。
更に弁明すれば、この高架橋は松山ICの南側から伊予市八倉まで連なる橋なので、例え伊予市が写り込んでいなくとも、れっきとした「伊予市の橋」の一部なのだ。
重信川を跨ぎ、おまけにそれからゆるやかなカーブを描きながら、八倉まで高架橋が延々と続いている。これはなかなか圧巻の風景だ。とはいえ、これを美しいと感じるかどうか、ましてや写真に撮りたくなるかどうかは見る人次第だ。
橋をただ眺めるだけなら、1分も眺めれば「御馳走様」といったところであろう。しかし、この橋については、情報を追えば追うほど、段々と面白味が広がってくる。なんせ、この重信高架橋、「日本の高速道路橋の建設で初めて導入されたスパンバイスパン工法」と銘打っているのだから。日本初ですよ、日本初。そんなものが、ここにあるのですよ。
まあ、こんなことを口走っているのだが、「スパンバイスパン工法」なんて言葉、初めて聞くわけだし、何がすごいのかがピンと来ない、そんな悲しい自分が実はここに居る。
どうやらPC(プレストレストコンクリート)製のセグメント(箱桁)を連続して繋げていくのだが、既に組み立てた桁の上に特殊クレーンを滑らせて運び、次の桁を継ぎ足していく。そんな工法らしい。高層ビル建設時に出来上がった階の上にクレーンを乗せて徐々に高くしていくのに似ている。あれは垂直に上がっていくが、この橋の場合はそれの水平移動バージョンと言ったところか。ろくすっぽ理解しないまま書き連ねるのは、いささか心苦しいのだが、概ねは間違っていないと思う。
細かいことはともかく、桁高2.6mのセグメントを750個近く連結した、総長1901mに及ぶ長大橋で、橋脚の数も46本と非常に多い。数値で表すと、圧倒するその姿の意味がより鮮明になってくる。
ついでに言うと、この橋、「土木学会田中賞」というのも戴いているらしい。これまた、不勉強な僕にはそのすごさがピンと来てないのだが、昭和41年度より、橋梁・構造工学に関する優秀な業績に対して授与されている賞らしい。「その道の権威者が優秀だと言っているから優秀なんだ」といった権威に頼りきるつもりはないのだが、この受賞は、橋というものを美しいとかカッコいいとかいった感性だけで眺めるだけでなく、どこに着目して橋を眺め、何を感じ取ればいいのかという視点を示唆してくれているようにも思える。
前置きが長くなってしまったが、今回は高速道路のさまざまな橋、これを伊予市内で見ていくことにする。
JR向井原駅から約350m南に潜ったところに架かる高架橋。圧倒的な存在感を示すのだが、全長は540mと、先ほどの重信高架橋に較べると約4分の1の長さだ。
外観は何の飾り気もない単調な橋であるが、形式的には「鋼・コンクリート複合ラーメン橋」という類の橋である。
ラーメンという言葉からは、どうしても中華そばしか想像できないのだが、RamenではなくRahmen。橋桁と橋脚が一体化した構造の橋である。
国道・県道などの河川に架かる橋の大半は桁橋と呼ばれるもので、基本的には橋脚(下部工)の上に橋桁(上部工)が乗っかっているものである。橋桁と橋脚は独立したものである。
伊予高架橋は、外見上は桁橋のようにも見える。私のような物見遊山として橋を眺める者には、「これは**橋」などと、その形式を言い当てることがなかなかできない。だからこそ、橋桁・橋脚の連結構造がどうなっているのかをよく観察する、あるいは図面等で調べなければという意欲が湧いてくる。その橋への興味というものが増大してくるのだ。
見た目で非常にわかりやすいラーメン橋は、何といってもこの写真の形のものである。小難しく書くと「PC中空床版斜材付π型ラーメン橋」という形式である。側面から見るとギリシャ文字のπの形になっている。斜めに配置された橋脚を杖に見立てて「方杖型ラーメン橋」と呼ぶ場合もある。
橋脚を設けにくい山間部の谷間などで採用されることが多い橋で、市街地の一般道ではあまり見られない形式の橋である。松山近郊であれば、砥部町あたりで数基見られる程度である。
ところが、松山ICから内子・大洲方面に車を走らせると、行道山の山裾や明神山近傍でこのような橋をふんだんに目にする。高速道路の貫通により断絶された農道・林道を繋ぐために設けられたもので、(高速)道を跨ぐので、「跨道橋」と呼ばれる。下に高速道路があるので橋脚を立てづらいがゆえ、自ずとこの形式が採用されるのだろう。
どこの跨道橋もそうだが、普段は滅多に車の通行がない。その点で、ウォーキングがてら橋を訪ねてみるのも悪くない。高速道を流れる車を橋上からぼんやりと眺めるのも、意外と落ち着いた気分になるものだ。
伊予市内にある松山自動車道の橋はほとんどが直線的な形状をしている。その中で、異彩を放っているのが双海橋だ。平成12年(2000)の伊予IC~大洲IC間開通に合わせて建設された橋で、橋長239m、RC(鉄筋コンクリート)製の逆ランガー(上路式)アーチ橋である。
アーチ構造の橋は見ていて飽きない。美しいシェイプだ。その橋の建造が古いか新しいといった議論は要らない。緩やかな曲弦が織りなす姿に、ただただ惚れ惚れしてしまう。
上の写真の通り、現在、明神山周辺の二車線化に向けて、トンネル開鑿や橋梁建設工事が進められている。新しく作る橋は既存の橋に近接して設けられるようだ。PC製の4径間連続バランスドアーチ橋、橋長は既存橋とほぼ同じ232.3mということだが、さてさて出来上がりはどんな姿になるのだろうか。楽しみでならない。
以上、今回は松山自動車道に架かる橋を追っかけてみた。
松山以南の高速道路が開通して20数年。歴史的には浅く、橋についても特異的な形状のものや派手な装飾を施したものなどは見られない。しかし、今まで道も無かったロケーションに、真っ直ぐな道、屈曲部でも曲線半径710mの緩やかなカーブの道を通していくことを余儀なくされるのだから、そのルート上の地形・地盤に応じて強度・土砂崩落リスクなど勘案しつつ、採用する橋の形式を慎重に選定しなければならないわけで、見掛けはシンプルでも、工法や構造面において様々な知恵と工夫が凝らされていること、多様な形態の橋を適材適所に導入していることが窺える。
そうだ。高速道路の橋は、橋の形や機能を知る上で恰好の学習材料になるのだ。高速道路が通っている町、あるいはその最寄の町に住んでいるのだから、このありがたさを享受しない手はない。
高速道路の橋を「単に通行路のパーツに過ぎない」と考えるのではなく、たまには下から見上げてみたり、側面からその雄姿を眺めてみたりしようじゃないか。色々と恩恵を受けているはずなのに、その素性を知らない、知ろうとしないというのでは失礼極まりないことだし。
◆お店の詳細◆
店名:こたろう博物館
住所:愛媛県伊予市灘町60-3
電話:(非公開、詳しくは店頭で)
営業時間:10:00~19:00
定休日:火・水曜日(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)
◆「伊予市ガイド vol.111 第7回「橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(1)
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/70419
◆「伊予市ガイド vol.108 第6回 地下を潜る路]
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/69458
◆「伊予市ガイド vol.105 第5回 川を堰き止めるものを訪ねる]
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/68618
◆「伊予市ガイド vol.102 第4回 水を求めて~川を見つめる(2)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/67646
◆「伊予市ガイド vol.99 第3回 水を求めて~川を見つめる(1)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/66679
◆「伊予市ガイド vol.96 第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/65665
◆「伊予市ガイド vol.93 第1回 農村風景を眺める」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/64697
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※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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