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伊予市パーフェクトガイド

伊予市ガイド vol.102【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】第4回 水を求めて~川を見つめる(2)

ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪

第102回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』シリーズ第4回目です♪

 前回は、川の上流と下流の端っこというものに焦点を当てる川巡りについて語った。しかし、それじゃ余りにもマニアック過ぎて一般ウケしそうにない。 

 今回は「ほんの少し絵になりそうな風景」、これをスローガンにして川を眺めていくことにする。「伊予市に、鑑賞に値する川があるのか」、これを探ってみたいと思う。

 

伊予地区を流れる川を眺める

 伊予地区を流れる川といえば、大谷川・森川や、松前町を河口とする長尾谷川が代表的な川である。

 一般的に都市・平野部を流れる川は、河床や両岸をコンクリートで塗り固められている所が多い。従って、景観の面では至って殺風景になりがちで、足を止めて鑑賞することには至らないものだ。

 しかし伊予市内を流れる小川は、割合自然味が豊かであり、ビオトープと呼べそうな感じのところが多い。

長尾谷川(伊予市上野)

 春先には土手に菜の花が咲き乱れる。「春の小川はさらさら行くよ」と口ずさみたくなるような、どことなく懐かしさを覚える長閑な風景に出会える。

 ソーセージのような穂を携えたガマ、実に糸を通してブレスレット作りをして遊んだジュズダマなども生えている。ここらへんも、山や川といった自然が少年時代の遊び場だった僕なんかは、魅力の一つと思えてしまう。

 まあ、景色を堪能するというよりは、川べりを散歩したくなる、そんな川であると表現する方が適切なのかも知れない。

 

双海地区を流れる川を眺める

 双海地区を流れる上灘川も、長閑な気分を味わえる良い川だ。

 この川の上流の翠地区はホタルの名所であり、足を運んだことがある人も多いだろうが、初夏の夜にだけ訪れるっていうんじゃ、ちょっと勿体ない。

 日浦橋の上流あたりは、川の畔に下りることができ、親水の場として活用することもできる。小さなお子さん連れでも、きっと楽しめることだろう。

上灘川(伊予市双海町)

 個人的には、大きな岩塊とコラボする河川の風景という点で推したい川だ。この辺りは、中央構造線が貫いているエリアということもあり、流路には安山岩質の白色の岩体が露わになっている。その岩を眺めたり、直に触れたりできる場所として一推しなのだが、それに共感していただける方は果たしてどれだけいらっしゃることか。(ほぼ皆無に近いことだろう。)

中山地区を流れる川を眺める

 さて、愛媛県内には、面河渓(久万高原町)、滑床渓谷(宇和島市/松野町)といった景勝地として著名な渓谷が数多あるのだが、これらに匹敵するとは言わないまでも、それらしい趣を持った渓谷が伊予市にはあるのだろうか。

 そもそも「渓谷」をどう解釈するのかが問題だが、まあ「滝」とか「淵」とかがあること、秋ならば紅葉との取り合わせが楽しめる場所、これくらいが求めるべき「渓谷」ということにしておく。

 このゆるい条件で、理想の川を伊予市内で探してみる。だが「滝」とか「淵」と呼ぶような場所が全く思い浮かばない。「伊予市」「滝」「淵」などをキーワードにネット検索をしたところで、的を射る回答には巡り合えない。目を皿のようにして地図を眺めてみても同様である。伊予市に渓谷を求めるのは「無いものねだり」なのか。

 いやいや、中山町に出淵(いずぶち)という地名があるじゃないか。何か「名淵」と言えそうな淵があるんじゃないかと淡い期待を抱くのだが、冷静に考えればこの「出淵」は中世の領主・出淵氏に由来する地名であり、具体的な淵を表すものでも淵の存在を指し示すものでもない。

 陸上交通が発達していない時代には、「一ノ瀬」の渓流(松山から見て、なかやま栗センターのちょいと手前辺り)が、景勝地として、そして街道を歩く人の休息地として取り上げられることもあったようだが、国道が整備されてからは単なる通過点に過ぎない。足を止める人も気に留める人も居やしない。

 あれこれと探し求めた結果、「伊予市内で最も美しい渓谷」は、永木地区から肱川支流中山川へと注ぐ藤の郷川という結果に落ち着いた。飽くまでも僕の主観だけに基づく結果であり、確たる根拠はない。

藤の郷川の鮎返滝(伊予市中山町)

 写真は、鮎返滝と呼ばれる滝である。名前の通り、川を遡行してきた鮎を足止めさせるには十分な落差ではあるが、あっても高々5mぐらいの小瀑である。滝マニアの人は、これを滝と認めないかもしれない。しかし、荒々しい岩の隙間を縫って流れる水の織りなす風景は情緒たっぷりだし、これを滝と云わずして何と呼ぶのか。

 滝の下流には、大きな淵があり、周りを取り囲む巨岩の上から淵を見下ろすこともできる。近くには龍王神社が祀られていて、厳かな雰囲気を醸し出している。秋口には紅葉だって楽しめる。

 まさに理想に違わない渓谷じゃないか。

そして再び伊予地区へ

 中山地区で理想とする渓谷に巡り合うことができ、満足感を覚えてしまったのだが、藤の郷川は伊予市といえども地理的にはほぼ内子町というロケーション。もっと手軽にアクセスできる位置で、滝とか淵に巡りあえないものか。

 文献を繙くと、森川の下唐川辺りに「蛇渕」という淵があることに気付く。

 しかしこの淵、観光案内マップに載ることもなく、現地に案内板などが設置されているわけでもない。手掛かりは「蛇淵橋」という橋だけである。

 現地に足を運び、この橋の袂に車を停め、辺りを見渡してみるが、「こんなところに淵があるのかしら?」といった感じだ。

 橋上から河床を見下ろす。ゴツゴツとした奇岩が見える。水音が聞こえる。恐る恐る橋の下に下りてみると、そこには落差2mぐらいの小さな滝がある。その滝壺が蛇淵である。

蛇淵(伊予市下唐川)

 枇杷で有名な唐川。以前は、砥石の産出でも名高い土地であった。蛇淵の近傍では、その岩脈の一部であろう、安山岩質の岩塊が露頭として現れている。

その大きな岩塊を川の水が穿ち、淵を形成している。深山幽谷という雰囲気ではないにしろ、奇景であることは間違いない。

 この淵には、昔、大蛇が棲みついていたらしい。どんな悪さをしでかしていたのかは良くわからないが、往々人を悩ましていたので、森山大膳という人が「けしからん」と大いに怒り、弓で射殺したとの云い伝えが残る。それで蛇淵と呼ぶらしい。

 大蛇の住処にしては、少々窮屈なサイズ感だ。しかし、妖怪とか幻獣に巡り会えそうな雰囲気は十分に醸し出している。

 明治のころの文献には「水聲常に滔滔(とうとう)とし、奇岩怪石その上に臨み一観竦然(しょうぜん)たるものがある」と紹介されており、それなりに知名度を持つスポットであったことが伺えるのだが、今やこの場所を見物に訪れる人など見る影もない。

もひとつおまけに

 淵や滝を探し求めて彷徨っているうち、「へぇー、こんな表情をする川がこんなとこにあったんや」と驚くような川に意図せず遭遇することがある。

 滑床渓谷(宇和島市/松野町)や滑川渓谷(東温市)に行ったことがある人ならば、巨大な岩塊上を滑らかに水が流れる風景を思い浮かべてほしい。

 そんな滑(なめ)が伊予市内にあるというと、皆さんは信用するだろうか。

森川の滑(なめ)(伊予市鵜崎)

 写真は森川を遡行した際に見つけた「滑」である。

 一部分だけをクローズアップしているのでそれらしく見えるのだが、規模感はハンパなく小さい。滑床渓谷や滑川渓谷と較べると、清原和博とリトル清原、石田純一と小石田純一ぐらいの差がある。いや、比較の対象にならないぐらいの大差なのかもしれない。そこに足を運んだ人から「感動しましたぁ」なんてコメントを得ることは有り得ないのかもしれない。

 しかし、礫岩の上をさらさらと水が流れるさまは本場さながらである。規模感はともかく、わざわざ遠出しなくてもそれなりの雰囲気が味わえる。プチサイズではあるが、そんな場所が伊予市にもある。これこそが重要なことなのだ。

 

  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 以上、僕が今までに訪ね歩いた川の風景の一部を紹介した。

 伊予市の川を巡る旅。

大衆ウケするような、インスタ映えするような絶景には巡り会えないかもしれないけれど、「そこそこの感動を与えてくれる」ぐらいまでハードルを下げれば、割と成立しそうな場所が見つかるものだ。

 

 皆さんもお気に入りの風景を探し求めて、川を訪ねて彷徨ってみてはいかがだろうか。 

◆お店の詳細◆

店名:こたろう博物館

住所:愛媛県伊予市灘町60-3  

電話:(非公開、詳しくは店頭で)

営業時間:10:00~19:00

定休日:火・水曜日(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)

HP: http://kotaro-iseki.net

FB: https://facebook.com/kotaro-MLA

伊予市「こたろう博物館」館長いせきこたろうさんの【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】連載紹介♪

◆「伊予市ガイド vol.99 第3回 水を求めて~川を見つめる(1)

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/66679

◆「伊予市ガイド vol.96 第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/65665

◆「伊予市ガイド vol.93 第1回 農村風景を眺める」

https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/64697

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※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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