伊予市パーフェクトガイド
ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪
第120回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』シリーズ第10回目です♪
今回は「橋を眺める」の第四弾。
前回に続き、地味な橋にスポットを当ててみたい。前回よりも、更に一層地味度が上がっているが、どうぞ興味を捨てずに読み進めていただきたい。
小川の川べりを歩くと、配管がただ川の上に架かってものが目に留まる。
「これは橋なのか?橋と呼んでいいものか?」
こんな台詞を前回の新川の鉄橋の時にも口走ってしまった。鉄橋の場合は、上に電車が走るし、長さはともあれ見た目にはれっきとした橋だ。ところが、こちらは単なる配管。これを橋と呼んでも良いのだろうか。
良いのだ。目には見えなくても配管の中に水が通っている。何等かのものが川などの谷間を跨いで通るのならば、紛れもなくそれは橋である。実際、「水管橋」というちゃんとした名前も持っている。
ただ、こんなものを写真に撮っても、なかなか芸術性なるものは生まれない。シンプル過ぎて「眺めて楽しむにはちょっとねぇ…」という感じである。
とは言うものの、それは水管橋全部に当て嵌まる話ではない。場所によっては、配管を支えるための補強としてアーチ構造やトラス構造の鉄骨上に配管を載せた水管橋もある。配管本体や水管橋のほぼ中央に取り付けられた空気弁などの点検・保守用の歩廊を伴うものもある。そうなると、自ずと「構造美」なるものが生まれてくる。十分に被写体として通用するフォルムになるのだ。
何べんも云うが、伊予市内には大きな河川がない。だから水管橋も余分な補強を必要としない。従って単に配管を掛け渡したような水管橋しか見ることはできない。「美しい」水管橋を求めるならば、迷うことなく一級河川を擁する別の市町に足を運んだほうが良い。
大きい川の方が、美観の面でアドバンテージを持つ橋が多い。これは水管橋のみならず、橋全般について言えそうである。確かに、一般的な傾向から見ればそうなのだろうが、一方では小河川だからこそ生まれる、小河川でしか見る事のできない橋というものもある。
例えば、唐川地区にあるこの水路橋。素朴な出で立ちだが、あまり見かけない形の橋で、上部に農家の方が歩いて渡るための飛び石も設けられている。手作り感がたっぷりで、何ともノスタルジーを感じさせる橋ではないか。
飲料水や工業用水などであればポンプで圧をかけて送水するので、中央部が持ち上がったアーチ構造の水管橋なども候補となりうる。しかし、このような農業用水の導水のために川を跨ぐ場合は、取水口と導水先との高低差だけで目的場所まで持っていくので、形状としては直線状で、やや勾配を持たせる形の橋を採用することになる。
熊本の通潤橋のように、石造・アーチ形式の水路橋を採用する選択肢もあるのだろうが、施工の難易度・コストや用水量を考慮すると、伊予市の場合はそんな大掛かりのものは要らないという結論に自ずとなってしまう。
そう、この辺りの農業をまかなうなら掛樋(かけひ)程度で十分用は足りるのだ。昔は、木板製程度の樋を掛けていた程度のものだったのだろう。それを、耐久性を高め、川の増水時に樋が流されるリスクを下げるために今の形にしたのだろう。そんなことを考えていると、この橋、ちっぽけなものだけれど、紛れもなく連綿と続く農村の生活文化を垣間見ることができる一つの遺産。そんな風に持て囃すこともできるじゃないか。
規模感とか美しさは二の次で、色んな思いを巡らせてくれるこの橋。だからこそ、僕の中では大切にし続けたい橋の一つなのである。
これは、日本電信電話株式会社(NTT)が架設した長尾谷川専用橋である。鋼板のカバーを纏った通信ケーブルの線渠が「橋のように」長尾谷川を跨いでだけであり、眺めて楽しくなるような風貌ではない。1992年11月架設ということで、さして古いわけでもない。
通信ケーブルならば、大抵の場合、架空線で川を跨ぐものだ。特に、この長尾谷川のような小河川なら電柱の間隔は然程長くならないだろうし、何よりその方がコスト的には断然安いはずだ。
ひょっとしたら地中埋設路があって、上部には持ち上げたくないということなのかもしれない。しかし、それならば、目と鼻の先に道路橋があるのだから、その道路橋の橋桁側面あたりを間借りして、ケーブルを敷設すれば良いではないか。単独橋を設けると、この写真にも写っているように、万一人が渡って怪我したら大事(おおごと)になるということで、進入防止対策も施さねばならなくなってくる。
そういや、この扇型の網みたいなもの、正式名称は何なんだろう?水管橋にも取り付けられていたアレ。大括りでいえば、水管橋付属物だが、それじゃまだ曖昧すぎる。
これ、多分「進入防止柵」という名前で合っているはず。これらを設置する工事が、水管橋上部工というわけだ。うーん。奥が深い。この橋ひとつ取ってみても知らない言葉がてんこ盛りだ。いやいや。知らないことが多過ぎる。
伊予市中山町にある堂本橋。街並みを散歩する途中でこの橋の傍を歩いたのだが、ここを歩いたときに、ピタッと足が止まってしまった。特に個性があるわけでもなく、何の変哲もない橋。普段なら素通りしてしまう代物である。
だが、何か違和感を覚える…。ふと橋銘板に目をやったとき、その違和感の正体がわかった。
「どおもとはし」と書いている。単に私の経験不足かも知れないが、「どお」という読み仮名にかつて出くわしたことがない。唯一の例としては、「でっかいどお。北海道」という全日空のキャンペーンで用いられたコピーぐらいである。
堂本橋だから、「だうもと」ならば話はわかる。だが、決して「う」が「お」に変わることはないはずだ。なぜ「どお」と記したのか。その理由が「どおしても」気になる…。いや、「どうしても」気になる。
そういや、「を」を「うぉ」「Wo」と発音するのは、愛媛県特有のことらしい。私なんか生粋の愛媛県民なので、「を」を「Wo」と発音するのが当たり前で、それを「お」と発音するのが正解だなんて言われると、声を荒げて怒りたくなってしまう。だが、どうやらそのような「愛媛の常識」は、「日本では非常識」らしい。厳密に言えば、愛知、静岡などでもその傾向がみられるらしいのだが、いずれにせよ日本全土から見るとマイノリティであることに違いはない。
ひょっとしたら、この「どお」の表記も、方言的なものなのか。中山地区特有のことなのだろうか。これは深読みしすぎで、実は単に橋銘板製作者のミスなのかも知れない。だが、そうだとしてもその製作者がそんなミスを犯した背景が気になってくる。
謎は未だ突き止められていないのだが、このような些細な謎こそが、僕を再び中山町へと誘ってくれるのである。
ともかく、橋銘板というものは実に面白い。橋の正式な読み方を教えてくれる教材でもあるし、橋本体以上に個性を放つものも少なくない。面白い字体を用いていたり、異体字で表記されるものがあってみたり。「もう、これ、アートだよね」と独り言を呟かずにはいられないものに出くわすこともある。
だから、ついつい橋銘板にカメラを向けてしまう。
橋銘板観察を続ける中で、「これこそ県内で類例が見られないレアな橋銘板」と絶賛すべきものが伊予市にあることに気付いた。
市道下吾川上野線、保田川に架かる一の宮橋である。
橋銘板自体は、ぱっと見では、ごく普通のものであり、これといった特徴は見られない。だが注目すべきは、二つの橋銘板の位置関係である。
通常、橋銘板は橋の入り口、左右両側の計4つ取り付けられ、橋名、読みがな、完成年月、河川名などを記すものである。一の宮橋の場合、この路線からはほぼ外れてはいない。しかし、これほどまでに橋の中央に身を寄せ合っている橋銘板は、他では見たことがない。橋長3.4mと極めて短い橋で、ガードレールを欄干にしており、取付場所に苦慮してこの形にしたのだろうが、なかなかの異例である。
これが、隙間なくぴったりとくっついていたならば、間違いなく「橋銘板の取付間隔が日本一狭い橋」という称号を得られるのだろうが、惜しむらくは数cmの隙間がある。国内を隈なく探してみると、これを凌駕する「狭さ」を持つ橋が見つかる可能性がある。だが、言ったもん勝ち。取り敢えずは「県下一」「日本一」の称号を、この橋に与えておくことにする。
橋銘板というものは、実に面白い。刻まれる文字の数は少ないが、橋の正式な読み方や、そこを流れる河川名などを教えてくれる貴重な教材なのだ。
「『伊予市の橋』というテーマで語ることなんか、もう出し尽くしたやろ」と思われるだろうが、いやいや、橋の世界は奥深いもので、語りたいことはなんぼでもある。
だが、これ以上掘り下げるとマニアック過ぎて誰も読む気がしなくなってくるだろう(もう、その領域に突入しているのかもしれない)から、次回からは別のアイテムに目を向けていくことにしたいと思う。
◆お店の詳細◆
店名:こたろう博物館
住所:愛媛県伊予市灘町60-3
電話:(非公開、詳しくは店頭で)
営業時間:10:00~19:00
定休日:火・水曜日(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)
◆「伊予市ガイド vol.117 第9回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(3)
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/71897
◆「伊予市ガイド vol.114 第8回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(2)
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/71175
◆「伊予市ガイド vol.111 第7回「橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(1)
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/70419
◆「伊予市ガイド vol.108 第6回 地下を潜る路]
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/69458
◆「伊予市ガイド vol.105 第5回 川を堰き止めるものを訪ねる]
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/68618
◆「伊予市ガイド vol.102 第4回 水を求めて~川を見つめる(2)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/67646
◆「伊予市ガイド vol.99 第3回 水を求めて~川を見つめる(1)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/66679
◆「伊予市ガイド vol.96 第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/65665
◆「伊予市ガイド vol.93 第1回 農村風景を眺める」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/64697
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※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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