伊予市パーフェクトガイド
ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪
第135回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』シリーズ第16回目です♪
前回、向井原から稲荷に至る間の旧大洲街道を歩き、路傍に佇む道標というものを眺めてみた。
道を歩けば、いろんなものが見えてくる。普段気にも留めていなかった様々なものが。その一つが「石造物」である。
この道の途中、市場(中盛)の一角に、色々な石造物が置かれている場所があることに気付く。

今回は、この場所に置かれている石造物を細かく眺めてみることにしたい。ここの石造物は、これと言って珍しいものではない。神社や寺に行けば、当たり前のように置かれているものばかりである。

常夜燈と記しているが、神前型灯籠と呼ばれる種類の灯籠である。それでは、常夜燈と灯籠の違いは何だろうか?両者に厳密な違いはない。常夜燈は、読んで字のごとし、「常に夜通し灯す灯籠」といったところだろうか。私なんかは、神社の参道・境内などに、2基1組として配置されるものを「灯籠」、街道の傍らに1基単独で配置されるものを「常夜燈」と使いわけているのだが、実際には神社境内に置かれた灯籠に「永代常夜燈」という文字が刻まれているケースも少なくない。ここに置かれたものは、マイルールに従って「常夜燈」としておく。
常夜燈の基本構成は、おおまかに言えば上から「宝珠(請花を伴う)」「笠」「火袋」「中台」「竿」「基礎(あるいは基壇)」というパーツから成る。撥(ばち)形をした竿石には、正面から「石 太神宮 金」「厳島社」「稲荷社」「天満宮」と各面に神社名らしきものが刻まれている。「太神宮」は伊勢神宮のことである。その脇の「石」は石鎚山、「金」は金毘羅宮を表している。このように「石」「金」という文字を刻む常夜燈のことを「金石常夜燈」と呼んだりもする。
「稲荷神社」は、伊予市稲荷にある「正一位稲荷神社」を指すのだろう。「天神社」は判然としないが、おそらく同じ北山崎地区に鎮座する「尾崎天神社」(伊予市尾崎)か「金子天神社」(三島町)に違いない。「厳島神社」は、尾崎天神社に摂社として祀られている厳島神社であろう。
この常夜燈は弘化二年(1845)に造立されたもので、約180年前の古いものであるが、さて、これはいかなる目的で造立されたのだろう。もともとこの場所に、小さい神社か祠があって、その境内地に奉納された常夜燈が現存しているとも考えられる。しかし、先ほど述べたように、竿石に複数の神社名が刻まれていること、特に「石」「金」の文字があることを踏まえると、街道を照らすために設置された常夜燈と考えるのがもっともらしい。
常夜燈の前に、高さ1mほどの角柱が2本立てられている。2本で1対になっている。
神社であれば、高さが4~5mで、柱の上部にフックのような金具が取り付けられている角柱「注連石」を見かけることが多い。これはその名の通り、注連縄を掛けるために建てられるものである。
ここにあるものは、上と下に貫通孔が見られるので注連石ではなく、「幟立石」である。お祭りのときに、神社やお旅所の所に白い幟が立てられているのをよく目にすることと思うが、あの幟を立てる際に竿を固定するためのものである。だから上下に2か所、竿を括りつけるための紐を通す貫通孔が設けられているのだ。
幟立石には建立年月や寄進者名などが刻まれないケースが多く、ここのものも御多分にもれず、文字の痕跡は何一つ見られない。

常夜燈の傍らに自然石っぽい角柱の石造物が建てられている。前面には「奉納大乗妙典一字一石塔」と刻まれている「納」・「乗」・「典」の文字があまり見慣れない形の字になっているが、これは異体字と呼ばれるものである。インターネットでGoogleの検索窓に「グリフ」と打ち込んで、1文字空白を入れて「乗」・「典」などの文字を入力して検索すれば、同じ文字の変形であることが確認できよう。
一般的にこのような石塔の下には、1つの青石(緑色片岩)に経文の一字を墨書し、纏めて埋葬されている。その意味で「一字一石経塚」と呼ばれることもある。ここの一字一石塔は、題字に「大乗妙典」という文字が見える。大乗妙典とは私たち衆生(しゅじょう)を迷いから悟りの世界に導いてくれる経典で、一般的には法華経(妙法蓮華経)指すと言われている。「なむみょーほーれんげきょう」という響きで題目が唱えられる、我々が耳馴染みの法華経のことである。
このお経は文字数にして、69,384文字から成る。経文1文字を記すのに手頃と思われるサイズの小石はだいたい30g前後といったところか。となれば、69,384×0.03=2081.52kgということで、2トン強の小石が埋まっていることになる。実際に掘り起こしてみないことには、その真偽は確かめようもないのだが、パッと見る限り、そのような膨大な数の小石が埋まっているようには到底見えない。道路のレベルから一段盛り上がっているので、地下に穴を掘り、そこに経文を記した小石を埋納した後、敷石などを置いて仕舞いをつけているのかもしれないが、おそらくは一字一石塔といいつつも、それは形式的なことで、実際に経文を記した小石を埋めていないように思われる。
側面に「寛政五癸丑歳二月」と刻んでいる。寛政5(1793)年2月の造立だ。
願主は佐伯忠左衛門美近である。この人は市場村庄屋で、新谷藩の藩命で焼物の窯を開いた人であるという。
常夜燈に向かって右側に、小さい祠が置かれている。これは石造物ではないが、ここに置かれているものの一つとして取り上げておく。
先ほど、常夜燈のところで、もともとここに何等かの神社が置かれていたかもしれない…みたいなことを述べた。旧市場村には、明治のころまで、村の鎮守であった宮領八幡神社以外に、疫隅神社、天神社、鹿島神社(いずれも詳細の場所は未把握)などの小社が置かれていたようである。その一つがここに鎮座していたのかもしれない。詳しいことはもう少し掘り下げてみないとわからないが、祠が置かれていることを考えると、ここが単に交通の要所というだけではなく、何らかの祈りを捧げる特別な場所であったと考えてもおかしくはない

小さな祠を参拝するときに手を洗って清めるための手水鉢だろうか。手水鉢にしては、水を溜める窪みの部分が浅すぎるし、サイズも小さすぎる。手水鉢であれば、「漱石」「清水」など、水に関連する語が一般的には刻まれるものだ。この石にはそれがない。
サイズ的には、線香を立てる香炉のようにも見える。一字一石塔が傍らにあることも踏まえ、ここではとりあえず香炉ということにしておこう。
いずれにせよ、一側面にカエルが陽刻されていて、なかなかキュートな石造物であり、興味をそそられる。
基壇には「燈」という文字が見える。察するにおそらく、常夜燈の竿石の残欠を転活用したものであろう。竿石が途中でぶったぎられる、あるいは折られることなど殆ど無いように思えるのだが、なんとも不思議である。
以上のように、道端には、我々の生活空間に自然に溶け込んでいて、その存在を見過ごす、あるいはその存在の意味を深く考えることがないようなものが、いくつも存在し、そして遺され続けている。
しげしげと眺め、深く掘り下げてみることは、新たな気づきもあって意外と面白いものである。皆さんも、道を単に歩くだけではなく、どのようなものがあるか、それはどのような名前なのか、どのような目的で置かれたものであるか…といったことを考えながら歩いてみて欲しい。故きを温ねて新しきを知る旅を、まずは身近なところで実践してもらいたいものである。
◆お店の詳細◆
店名:こたろう博物館
住所:愛媛県伊予市灘町60-3
電話:(非公開、詳しくは店頭で)
営業時間:10:00~19:00
定休日:火・水曜日(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)
◆「伊予市ガイド vol.135 第15回 道を訪ねる-(5)~いにしえの道
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◆「伊予市ガイド vol.132 第14回 道を訪ねる-(4)~その他の道
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◆「伊予市ガイド vol.129 第13回 道を訪ねる-(3)~市道とか
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◆「伊予市ガイド vol.126 第12回 道を訪ねる-(2)~そして県道へ」
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◆「伊予市ガイド vol.123 第11回 道を訪ねる-(1)~まずは国道を」
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◆「伊予市ガイド vol.120 第10回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(4)」
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◆「伊予市ガイド vol.117 第9回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(3)」
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◆「伊予市ガイド vol.114 第8回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(2)」
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◆「伊予市ガイド vol.111 第7回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(1)」
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◆「伊予市ガイド vol.108 第6回 地下を潜る路」
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◆「伊予市ガイド vol.105 第5回 川を堰き止めるものを訪ねる」
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◆「伊予市ガイド vol.102 第4回 水を求めて~川を見つめる(2)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/67646
◆「伊予市ガイド vol.99 第3回 水を求めて~川を見つめる(1)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/66679
◆「伊予市ガイド vol.96 第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/65665
◆「伊予市ガイド vol.93 第1回 農村風景を眺める」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/64697
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