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伊予市パーフェクトガイド

伊予市ガイド vol.206【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】 第39回 山を歩く~障子山

ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪

 

第206回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』

 

シリーズ第39回目です♪ お楽しみください!

障子山の名前のこと 

 今回取り上げる障子山は、前回紹介した白滝山・権現山の記事の中で、砥部町の陶街道ゆとり公園から眺めた風景写真にもお出ましした山だ。

位置関係を把握するために、この写真をもう一度振り返って眺めてほしい。

障子山は、砥部町側から眺めると、三角錐にほぼほぼ近く、極めて秀麗な形をしている。

 

 一方、伊予市側から眺めると、何枚かの障子戸を並べたように見える。

そのせいか、大戸山とも呼ばれるようで、『伊予郡の現勢』(愛媛タイムス社、大正14年)や『いしづち-松高山岳史-』(北川淳一郎、北川先生喜寿記念会、昭和42年7月)などで、その名を確認できる。

 それでも「大戸山というのは俗称みたいなもんなんだろうな」と軽く受け止めていたのだが、『二万分一地形図松山道後12号「大南」』を眺めてみると、「大戸山(障子山)」と記されている。

障子山の方が別称扱いされているではないか。

 

 まあ、「大きな戸」も「障子戸」も似たようなものだ。とにかく戸を並べ立てたような不思議な形をしていることを由来とした命名であることに違いない。

 今では障子山を大戸山と呼ぶ人なんて、まずいないだろう。少なくとも、僕は大戸山と呼ぶ人に出会ったことはない。

 

 古い文献を紐解くと、えひめこどもの城の南側に聳える大友山(砥部町/松山市)を「大戸山」と表記する例も見られる。

ひょっとしたら、これとの混同を避けるため、障子山という呼称の方が多用されるようになり、やがて大戸山の名が廃れていったのかもしれない。

写真:砥部町ゆとり公園から西方を望む

障子山はどれほど認知されていた山なのか

 さて、この障子山。実際に登られた方は如何ほどおいでるだろうか。

 障子山は、『四国百山』(高知新聞社)や山と渓谷社の分県登山ガイドをはじめとする様々な登山ガイド本にも取り上げられており、人口に膾炙するとは言わないまでも、多くの登山愛好家に知られた存在であることに疑いはない。

 

 旧伊予市が市制40周年を記念して選定した『伊予市八景』では、「障子山と鵜ノ崎峠」がその一つに選定されている。

旧砥部町が選定した『とべ文化五十選』にも障子山が取り上げられている。

時代を遡れば、『御替地古今集』(菊沢武輝、寛政12年)の中に『砥部十景』というのがあって、「障子山の暮雪」がそのひとつとなっている。

このように、登山対象としてではなく、眺めるべき山として多くの人々に認知され続けた山であることが伺える。

 

 余談ではあるが、明治初期に文化人たちが選定した『郡中八景』や『吾川十二景』には、障子山の名が現れない。

『郡中八景』は「谷上午鐘」(たがみごしょう)、『吾川十二景』は「谷上山の暮雪」ということで、第36回で取り上げた谷上山をピックアップしている。

近くにある神々しき山、谷上山を差し置くわけにはいかないということだろうか。

 

とはいえ、『郡中八景』では「南山積雪」も選定されているわけで、その名は明らかにしてなくとも、雪を被った障子山の美景を蔑ろにしてはいなかったようだ。

戸を並べ立てたような形の山々が雪で白く染まったその様は、まさに「障子」のようで美しいと、遠方に聳えるこの山を当時の人々は仰ぎ見ていたことであろう

障子山に登ってみる

 以上のように書き並べると、この山への登攀意欲が湧いてくる方もおられるのではなかろうか。ということで、僕がこの山に登った時の記録をもとに、若干ガイダンスしておくことにしよう。

 

 障子山へは、前回の白滝山・権現山と同様、伊予市と砥部町との境にある鵜崎峠から登る。

 鵜崎峠へのアクセスについては、伊予市側からは前回記した通りである。

松山市・砥部町側からアクセスする場合は、国道33号を南進し、三坂峠登り口から国道379号へと右折、そしてすぐさま次の信号を右折して県道53号(大平砥部線)へと入る。

あとは道路標識に従って進めばよい。

 

 登山口には駐車場はおろかトイレなどの類は全くないので、事前に用を足しておかねばならない。

県道53号の道中にはコンビニも食料品店もないので、昼食や飲料水もあらかじめ調達しておくのをお忘れなく。

 

 鵜崎峠に到着する。登山口付近には駐車場がないので、県道を砥部側にやや下ったところの道路脇に車をデポして登山開始する。

峠に向かって少し上ったところに「皿ヶ嶺連峰県立自然公園 障子山」と書かれた看板が立っているのが見える。

写真:皿ヶ嶺連峰県立自然公園の標識

 ここから続く林道をひたすら進み、その終点近くから東側稜線を上るルートもあるのだが、僕の場合、大抵は伊予市鵜崎の集落から登ることにしているので、そちらのコースをベースに話を進めたい。

 

 鵜崎峠へと登り、三叉路を左折する。(もし峠の伊予市側に車をデポしたならば右折することになる。)少し進んだところに地蔵堂がある。 

道なりに進み、鵜崎バス停の立つ場所の分岐路で左折してヘアピン状に折り返すのが無難なルートであるが、地蔵堂のところからショートカットする手もある。

ただしその道は田んぼの畦道といった感じのものである。

 

 やがて大公孫樹が出迎えてくれる。

秋であれば、黄葉が美しい。ギンナンの実もいっぱい落ちている。

 

 大公孫樹のやや上手に庚申社という小さな神社がある。

ここで再度ヘアピン状に折り返し、あとは真直ぐ進むだけ。とはいっても、進んだ先は民家の庭先。いたずらに突き進むわけにはいかない。民家敷地の右下の石垣に沿って迂回すべきである。

 

 やがて、竹林に至る。案内標識もなく、取り立てて特徴的な場所でもないのだが、ここが登山道の入口だ。

 竹林をしばらく進む。途中から雑木林へと変わる。

アケビが鮮やかな赤紫色の実を地上から遥か高いところにぶら下がっているのが見えたりもするのだが、飽くまでもここは他人様の土地。

ゆえに「採って食べたい」という欲望はかなぐり捨てなければならない。

 

 雑木林とはいえ植生はそれほど豊かではないので、草花に興味がある人は物足りなさを覚えるかもしれない。しかし、10月であればキバナアキギリなどに出会うことができる。

写真:キバナアキギリ

 やがて杉林へと変わる。ここからは、黙々と杉木立の中を歩いていくことになる。

 

 地元の学校の遠足で登られることもあるせいか、登山道の脇には随所に手作りの案内板が立てられているので、どうやら道に迷う心配はなさそうだ。

しかし、周りは一面杉林であり、どの方向を見ても似たような木立しか見えない。方向感覚も狂いそうになるので、しっかりと案内標識を辿っていただきたい。

 

 登山道には杉葉が多く積もっている場所も多いので、足元にも細心の注意を。

登山者が少ないためか、登山道の整備はそれほど行き届いていない様子だ。

十分な刈込はされていない。雑草が生い茂って道を塞いでいるような場所も散見される。

ノイバラなどの棘で腕や足を引っ掻きそうなところもある。くれぐれも軽装登山は慎むべきだ。

 

 登り始めて一時間ぐらいで稜線にたどり着く。

ここから右に折れ、美しい杉木立の中を進んでいくと一等三角店のある山頂に至る。

写真:障子山山頂

 標高885mの山頂に立つ。山頂からの眺望は生憎よろしくない。

立ち木が邪魔して、松山平野は殆ど臨めない。木々の間から街並みが僅かに見える程度である。

上を見上げても、杉の葉が青空の大半を隠しており、山頂一帯は薄暗い森となっている。

 

 この稿の冒頭で、障子山の名前の由来について幾分か述べたのだが、ひとつ書き漏らしていたことがある。『砥部町誌』に次のような記載があるのだ。

「ショウジ」は四方がよく見えるという意があるといい、障子山に登れば四方の眺望がよく開けているところからこの地名が起こったのではないかと。

 

 しかし、実際に登ってみると眺望は全く利かない。従って、遠景・美景に拘る人には、声を上げてお薦めすることはできない。

 とはいえ、この山にもそれなりの良さがある。

写真:美しい杉木立

 天を衝くように林立する杉木立は何とも清々しい。

標高が1000m近くともなれば霧もかかりやすいのか、山頂付近は白く煙った空間になることが多い。なんとなくではあるが、マイナスイオンやらフィトンチッドやらが溢れまくっているような気がして心地よい。森林浴にはうってつけの山と称賛したい。

 

 また、標高1000m級の山に松山市内から1時間もかからない登山口から登れるという点を特筆すべきこととして挙げたい。

無駄なガソリンを消費せずとも、高山気分が手軽に味わえるし、山登りのトレーニングができるのだから。

その意味で、障子山は非常にありがたい存在なのだ。

◆お店の詳細◆

店名:こたろう博物館

住所:愛媛県伊予市灘町60-3  

電話:(非公開、詳しくは店頭で)

営業時間:10:00~19:00

定休日:火・水曜日

(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)

HP: http://kotaro-iseki.net

FB: https://facebook.com/kotaro-MLA

伊予市「こたろう博物館」館長いせきこたろうさんの【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】連載紹介♪

◆「伊予市ガイド vol.203 第38回 山を歩く~白滝山・権現山」

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来週あたりついつい行きたくなる

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イラスト:山内ひろみ

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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