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伊予市パーフェクトガイド

伊予市ガイド vol.221【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】 第44回:五色浜公園散策-(2)

 ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪

 

第221回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの

『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』

第44回五色浜公園散策シリーズ2回目です♪

 

お楽しみください!

彩浜館・さざえ堀 

(写真 彩浜館)

 彩浜館は、明治27年(1894)1月、郡中町の酒造家で後に県会議員・衆議院議員を務め、南予鉄道・伊予汽船などの開業に参画した宮内治三郎らが発起人となって町民から浄財を集め、民力によって建設された、いわゆる集会所である。

 

郡中を訪れた文人墨客の接待や、会社設立総会や祝賀会などの各種会合、この地を訪れた名士の接待場所として用いられた。

 

 明治42年(1909)3月14日、当時朝鮮統監であった伊藤博文が静養のため愛媛を訪れた際、ここ郡中にも3月26日に足を運ばれたのだが、その時の歓待の場所にもなった。

日露戦争中には、松山に収容されていたロシア人捕虜将校をもてなしたりした。

また、太平洋戦争中には、大阪の島屋国民学校の子供たちの疎開先としても使われたりもした。

 

 建設当初は、寄棟造りの建屋で、当時には珍しいトラス構造を取り入れた洋風の小屋構造を採用したことから「異人建ての家」とも称された。

県下屈指の観光地・道後温泉のメイン施設で国の重要文化財に指定されている道後温泉本館よりも約半年早い時期に完成しており、異人建ての建物としては県内最古とも言われていた。

どうやら、道後温泉本館の建築の議が起こった時に、それに触発されてか、道後温泉本館完成に先駆けて建設したらしい。

 

当時の郡中の人々の意気盛んな様子が伺える。

棟梁は、明治時代に学校・裁判所・病院などの建築を手掛け山梨県師範学校や山梨県庁などの建設にも携わった小宮山弥太郎の流れを汲むと思われる本田亦衛という人物であったようだ。

道後温泉本館の建築棟梁・坂本又八郎との関連もありそうで、非常に興味深い。

 

 しかし現在の建物は、昭和63年(1988)8月~平成元年(1989)3月に旧館の趣を残したまま立て直されたものである。今も当時の姿で残っていれば、道後温泉本館にも負けじ劣らずの文化財として脚光を浴びただろうに残念なことである。

 

 だが古建築でなくなったことを嘆くなかれ。1階ロビーには、三島地区で陶芸を行い、後に砥部に移住した友澤波六の焼き物や、森の大谷海岸で採集された扶桑木(愛媛県指定天然記念物)が常設展示されている。また、石井南放・橙野寿蔵・平田周子の絵画や村上三島・浅海蘇山の書などの掲額もある。ちょっとしたミュージアムといった感じだ。

「ご自由に見学ください」といった看板が立っているわけでもなく、何となく敷居が高くも感じるが、現在は伊予市が管理している施設でもあるし、係員に一声かけてロビー見学させてもらうのも良かろう。

 

 さて、彩浜館の裏側に回ると、北側の庭に螺旋状の石組み井戸がある。

その形状が巻き貝を連想させることから、さざえ堀あるいはさざえ井戸と称するものである。

この井戸は、文化9年(1812)、万安港を築いたときに造成されたものと伝えられる。

どうやら海水の干満を示すものであったらしい。だが、港のすぐそばの立地であるのだから、わざわざ井戸で潮の干満を見なくても、海面を直接見れば事足りそうなものなのだが……とツッコミを入れたくなってしまう。

後には鯛などの魚の生け簀とされていたようだが、こちらの方が用途的に見るともっともらしい。

 

 余談だが、以前は彩浜館の前庭北側に「従是南大洲領」と刻まれた石柱が立っていた。

「藩境の石」と呼ばれるもので、その名の通り、藩政時代の大洲藩と松山藩の境界を指し示すもので、もともとは松前町と伊予市の境のほど近い、豊円寺(伊予市下吾川)の北側にあったものだ。

(写真 藩境の石)

 これが何故だかある期間彩浜館敷地へと移設されていたようだが、現在は元の場所に再度移設されている。このような碑はやはり本来の藩境跡において保存活用すべきだろう。

 

しかし、彩浜館へと場所を変えてでも残したからこそ本来の場所に戻すことができたわけで、どのような経緯で彩浜館前に移されたか定かではないが、それはそれで結果的には英断であったと評価したい。

 

郡中町創業の碑

(写真)郡中巷衢創業原誌碑

 五色浜神社の鳥居前に、高さ4m強の花崗岩製の碑、台座を合わせると総高約7mの威風堂々とした碑が立てられている。

郡中巷衢創業原誌碑(ぐんちゅうこうくそうぎょうげんしひ)」あるいは単に「郡中町創業の碑」と呼ばれるものだ。「巷衢」とは耳慣れない言葉だが、「巷」「衢」共に「ちまた」と呼び、同意の語を並べた「巷衢」は「道が縦横に通じる賑やかな街」を意味する。

 

 この碑は明治18年(1885)郡中町創始250年を記念し、豊川渉(とよかわわたる、後の郡中町長)の発案、町の有志による計画・実行を経て、明治27年(1894)7月に竣工したものだ。

 

 表面の「郡中巷衢創業原誌」の題字は、伊達宗紀(むねただ)の書。伊達宗紀は宇和島7代藩主で、当時では珍しく百歳まで生きた長寿の人である。書画・詩文にも優れた才能を発揮し、伊達春山の名による書も多く遺っている。

 

 裏面には、大略すると「郡中の地は松林が続き草叢や藪が多い荒地であり住民も少なかったが、寛永年間に上灘村に住んでいた宮内九右衛門通則(みちのり)・清兵衛正重(まさしげ)の兄弟が、この地は周辺に物産も多く、地理的に見ても海上・陸上交通の面で交易の優位性があると考え、寛永12年(1635)、この地に町を拓くことを大洲藩主・加藤泰興(やすおき)に願い出た。

 

土地の平坦化等の土木工事費用を民力で賄うという条件で開町の許可を得て、町づくりを行った。

以降、郡中の町は人口も増え、発展の一途を辿った。

今のこの町の繁栄ぶりは偏に宮内兄弟のおかげである」といった内容で、郡中町誕生の経緯や宮内兄弟の業績を称えた文章が刻まれている。

 

 この撰文は漢学者山下清風(武知五友)によるものである。

武知五友は、文化13年 (1816) 4月 1日、松山藩士武知矩方の長男として生まれた。

名は方獲、字は伯慮と称し、五友の他、愛山、清風、白痴、五格などとも号した。

松山藩士近藤逸翁について素読を受けた後、明教館教授日下伯巌に師事した。

江戸昌平黌で学んだ後、松山に帰郷し、母校明教館で教鞭をとった。

 

廃藩置県後、母と共に高岡村(松山市高岡町)に移り、以降、高柳村(松前町上高柳)、三津浜へ転寓した後、明治15年 (1882) 2月に郡中に移り、ここを永住の地と定め灘町の現黒住教会所に私塾を開き、子弟を教育した人物である。このあたりのことは、第27回 寺に詣でる-(5)で既に紹介した通りである。

 

 書は河東坤(俳人河東碧梧桐の父)。

彼の号である静渓の方が人口に膾炙しているようにも思える。

松山藩士・漢学者であり、松山藩校である明教館の教授を務め、後に私邸に千舟学舎という私塾を開き、正岡子規仙波太郎らの教育にあたった人物である。

 

 そして、この碑の石工は今岡豊蔵である。

 ちなみに、この碑の竣工式は、明治27年(1894)7月22日、五色浜神社の前身である住吉神社の社頭と、先ほど述べた彩浜館で盛大に執り行われた。

 

藤谷豊城胸像

(写真:藤谷豊城胸像)

 五色浜神社鳥居前に郡中町第7代町長の藤谷豊城の胸像がある。

藤谷豊城という名、耳に覚えがあるだろうか。そう、前回紹介した「魚付林の歌碑」の歌の作者である。

 

 藤谷豊城は安政6年(1859)7月16日に生まれ、昭和8年(1933)6月29日に没した。

明治44年(1911年)から大正4年(1915年)まで郡中町長を務め、町発展の礎を築いたのだが、とりわけ郡中港の大改修に尽力したことが評価されており、この胸像はそれを顕彰するものである。

 

 当初は、大正13年(1924)10月にブロンズの全身像が建てられたのだが、昭和18年(1943)3月、太平洋戦争中に軍需資材として供出されてしまった。

これを昭和48年(1973)3月に胸像として復元したものが現在の胸像である。

この銅像の除幕に関する記事が、「広報いよし」の昭和48年6月1日号に記載されている。

 

 胸像は現代彫刻家・阿部誠一によるものである。

阿部誠一は昭和6年(1931)、今治市に生まれ、昭和29年(1954)に松山商科大学(現・松山大学)経済学科を卒業後彫刻に取り組み、昭和35年(1960)年に佐藤忠良に師事した。

その後、県内各所で屋外彫刻を手掛けている。「女(下着)」(今治市河野美術館)、「見つめる少女」(松山市堀之内NHK松山放送局前庭)「三浦保銅像」(松山市 三浦工業株式会社研修施設ミウラリラトレセンター敷地内)など、県下各所で彼の作品を見ることができる。

 

 台座にも注目してみよう。正面には、「藤谷豊城翁像」と刻まれている。書は陸軍大将・秋山好古によるものである。

 続いて西面。以下のような内容が刻んである。

 

 藤谷豊城は大洲藩士・稲葉六良右衛門の第三子で、郡中町藤谷家の嗣子となった。

明治11年(1878)に町会議員に選出されて以降町政に尽くし、明治44年町長に就任時には町政窮乏時に善処して港町・灘町一帯の護岸工事や郡中港の改修工事を行い、町民の安全を図り、船舶往來を盛んにし、更に八千坪余の埋立地を実現して町の基本財産を築いた。

 

また、五色浜神社の建立にも尽力した。社殿を造営するとともに町内各社に点在していた神社を合祀した。加えて、有志者と謀り、郡中銀行・肱川汽船会社・南予鉄道会社を創立し、地方経済の振興に多大な貢献を果たした。

 これが刻文の概要である。

撰文は、県会議員・衆議院議員であり、伊予鉄道社長も務めた井上要によるものである。

台座東面には、木原鉄之助の撰文で、

**********************************

 翁は町を一人立ちさせた

 四十有余年太陽の落ちた遠い海

 あっ難船だ、助けてくれ!

 叫び声が胸をかきむしる

 護岸 港の改修 光は町に輝いた

 昭和十八年三月、戦争は何もかも奪った

 だが翁はここに、町の父として復元した

 

 昭和四十八年三月 藤谷豊城翁顕彰会

 木原鉄之助撰文 北村淳吉謹書

**********************************

と刻んでいる。再建時に追刻したのだろう。

 木原鉄之助は今治市波止浜生まれ、京都大学出身の弁護士だろうか。「伊予鉄労組四十年史」を繙くと、伊予鉄道労働争議調停委員会委員長を務めたようであり、また「愛媛地労委20年のあゆみ」を繙くと、愛媛県地方労働委員会の委員を務めたようでもある。

北村淳吉は郡中町にあった北村醤油店に関連する人物だろうか。俳句を嗜んでいた様子で、昭和23~24年頃の「公民館俳句選」に彼の作句が見える。しかし、それ以上のことはトレースできない。

 台座南面には石工名が刻んでいるが、伊予港に隣接する今岡石材店の手によることが伺える。

 

(次号に続く)

◆お店の詳細◆

店名:こたろう博物館

住所:愛媛県伊予市灘町60-3  

電話:(非公開、詳しくは店頭で)

営業時間:10:00~19:00

定休日:火・水曜日

(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)

HP: http://kotaro-iseki.net

FB: https://facebook.com/kotaro-MLA

伊予市「こたろう博物館」館長いせきこたろうさんの【こたろうの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』】連載紹介♪

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◆「伊予市ガイド vol.99   第3回 水を求めて~川を見つめる(1)」

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◆「伊予市ガイド vol.96   第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」

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◆「伊予市ガイド vol.93   第1回 農村風景を眺める」

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来週あたりついつい行きたくなる

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イラスト:山内ひろみ

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