まいぷれ五・七・五
2022年12月の「無人駅句会」は12名が参加しました。今回は東氏が選句した11句の俳句をご紹介いたします。
(撮影:和夫)
(写真について)
何年か前の12月30日冬の海を撮りに行こうと思い、JRの一両車に乗り下灘駅にやってきました。駅に列車が止まると50人以上の方が列車の方にカメラを向けていました。「え」と一瞬驚きました。年の瀬の静かな駅舎のたたずまいを想像していたので。掲句の上の写真は冬の下灘駅を撮ったものです。俳句にもありますように、人影の残像もなしですが、実はこの写真を撮っている後ろには大勢の人々がいます。全国各地からやってきています。その理由は映画の『男はつらいよ 寅次郎と殿様』、テレビの木村拓哉主演の『HERO特別編』などの撮影が行われたからだそうです。ただ『HERO特別編』の影響が大きいでしょうね。写真を撮っている方はほとんどが若者ですから。
下の写真は私が乗ってきた一両車です。
もう一枚下の写真は海の側から春の下灘駅を撮ったものです。写真には『伊予灘ものがたり』の観光列車が停車しています。
一両車が予讃線の海回り「愛ある伊予灘線」の下灘駅に停車中
(撮影:和夫)
下灘駅に『伊予灘ものがたり』の観光列車が停車中
(撮影:和夫)
先ず、立冬は二十四節気の一つ。風の気配とか辺りの景色に、晩秋から一歩踏み込んだ世界を感じ取らせる。何処となく空気にも冷たさの在る事を、作者の膚が実感しているのだろう。電車の最後尾からの景色、そう、後ろの窓に向かって棒立ちとなり、遠景となって消えて行く線路を眼で追っているのだ。その遠景は、昏れという時間の中に次第に飲み込まれていくのである。季語「立冬」(冬)。
初冬の穏やかな日、正に小春日和である。瀬戸内の景色だろうか、沖にはタンカーとかコンテナ船とか貨物船が航行している。その様子は、小高い丘からは、あたかもゆっくりと航行しているかのように見える。車椅子の人は、開放的な気分に満たされている。そして声に出して指をさして、一隻二隻と数えているのだろう。季語「小春日」(冬)。
この句を見て僕がとっさに思ったのは、松山市姫原にある比翼塚。允恭(いんぎょう)天皇の子、軽皇子(かるのみこ)・軽大郎女(かるのおおいらつめ)の悲恋の塚である。軽大郎女は同母妹で、当時、異母兄弟婚は許されていたが同母昏は禁じられていた。二人は伊予の湯に流され、最後は心中した。(これら諸説あり)。二人は美男美女であり、日本で初めての心中であるとか。その比翼塚の横には大きな桜木があり、桜紅葉が散り敷かれていたことだろう。余談だが、「伊予の兄妹(きょうだい)心中」という歌があり、旧制松山高等学校の生徒の間で歌われていたらしい。兄は昭夫、妹はお清、だとか。季語「桜紅葉」(秋)。
上五に擬音の「はらはら」がくると、短歌的な雰囲気を孕んでいるかのようである。下に七七と付いてもおかしくはない。さて、桜の紅葉は一般の紅葉の先駆けとなってるようだ。僕も桜紅葉は好みで、葉の色も黄や赤などさまざまであり、黒い斑点や虫食いもあって句心をそそられる。この句にある葉の「裏表」には、はらはらと秋陽を受けて落ちるさまや、かそけし音までも想像させてくれる。季語「桜紅葉」(秋)。
けやきの木は堅く、材としてくるいが少ないために用途は広い。「けやき」は漢字にしてほしかった。その音韻と漢字「欅」にオシャレ感が僕は好きだ。この句、天辺という言い方に妙がある。そして破調だが、読み下したところに「裸木」と、ストンと名詞止にしたのが効いた。冬枯れのモノトーンの世界が一気に広がっていく。季語「裸木」(冬)。
初冬の断続的に降る雨は、身に染むほどではないが、時に冷たさを感じさせる。そして、その空気感には冬の到来だと実感させられる。そんな時、熱々の大判焼をフファフファ言いながら齧(かぶ)り付くのである。食み出た餡子で口の廻りを汚すのも何のその、一個二個と平らげた。季語「時雨」(冬)。
午後になって雲行きがあやしくなってきた。夕暮の近づく頃空は暗転、雲の動きがあわただしい、急に雨が降り出した。かと思うと、通り雨にあったかのように晴れ間がのぞく。辺りはひんやりとした空気に包まれている。これは、冬の訪れとする、時雨の現象だ。芭蕉忌のことは、時雨忌ともいう。季語「芭蕉の忌」(冬)。
我が家にも、毎年、長野の知り合いから林檎が届く。スーパーのとは違う新鮮な香りに、これぞ林檎という香りに、ちょっとした幸福感に浸ることができる。届いた林檎の箱の紐を解くときのわくわくする期待感には、自然と笑みがこぼれる。作者も、同じような思いを抱いたことだと思う。季語「リンゴ」(秋)。
縁切寺とは穏やかでないが、能く能く(よくよく)思い詰めての事なのか、ちょいと天気が良いから、冷やかし半分縁切寺を訪ねようと思い立ったか。今では観光地化されているから、観光という面もあるか。だいたい駆け込み寺といえば尼寺というのは納得で、実際に尼寺は縁切りの事情に通じてたとおもう。季語「小春日」(冬)。
「山眠る」は、雑木山など落葉をし尽くして裸木となった低い山が、ひっそりと籠っているように見える事を擬人化した言い方だ。アルプスのような高い山や雪山には使わない。あくまで里山を思う。そこには人の匂い(生活)があるからだ。さて、この句はワッフルだが、僕はホットケーキにたっぷりと蜂蜜を乗せる。季語「山眠る」(冬)。
初冬間もない頃、土手で一人サックスの練習をしている男がいた。テナーサックスである。低く重い音が寡黙な空気を震わせる。同じフレーズを何度も吹いているのが、土手の縁(へり)にいてもわかる。音が止んだ。男は確認するために譜面を覗き込んでいるのだ。男は再びサックスを口に咥(くわ)えた。先ず、フッと冬の一音を吹いた。季語「冬」(冬)。
(東英幸 記)
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