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まいぷれ五・七・五

「無人駅句会」2020年12月だより

(撮影:和夫)

 2020年12月の「無人駅句会」は10名が参加しました。今回は東氏が選句した10句の俳句をご紹介いたします。

寄せ鍋に女の愚痴の三切れほど        日暮屋  

 寄せ鍋は冬の代表的な料理だが、具材に決まりはない。一般に家庭料理だが、居酒屋などでも少人数で、また宴会などでも鍋を囲むことがある。この句では少人数に的を絞る。女同士の寄せ鍋会ともなると、愚痴のオンパレード、つまり愚痴り合いだ。これだと愚痴も三切れでは足るまい。この食文化、ストレス解消にはもってこいだ。また、家庭での寄せ鍋となると、この愚痴は女房様の愚痴、言葉に出すか出さないか、いずれにしろ三切れほどで勘弁してあげましょうと言うことか。出来た女房様です。季語「寄せ鍋」(冬)。

母と子の百数えきるゆず湯かな        岡田敬子

 昔、銭湯でこの光景を見た記憶がある。勿論、母ではなく父と子であったが、なかなか数え切れない、惜しいところまで行くのだが、また一からやり直しだ。最初はその光景を微笑ましく思っていたが、そうそうは付き合っていられない、湯舟を出た。家庭でも、子供に数えさせた事が蘇る。ところで、冬至に柚を浮かべる風習は家庭より銭湯の方が多いように思う。ゆず湯の中であれば、香りに浸りながら、わが子が百まで数えきるまで付き合える。季語「ゆず湯」(冬)。

休校の子供といます部屋小春         しづか

 このコロナ禍、学校も休校を余儀なくされる。外に出ようにも自粛自粛で思うに任せない。まさしく巣ごもりである。静かな日々、窓から差し込む初冬の陽射しが心地良い。少しは癒される。この時期を「小六月」「小春日和」ともいう。季語「小春」(冬)

冬青空食パン買って帰りけり         東隆美

 澄み切った空に冬の青空がひろがっている。柔らかな小春日和の陽射しの中、清々しい気分に満たされてる。心はスキップするかのようだ。この食パンは今話題の食パンかもしれない。想像だが豊かに香ってくる。近頃は食パンの専門店が、また食パンに本腰で力を注いでいるパン屋が増えてきている。季語「冬青空」(冬)。

冬帽に朝日の移る六地蔵           熊本妙子

 冬晴れの穏やかな朝、お墓参りに出かけたのだろう。風が無く、鳥が囀り、冬麗(ふゆうらら)といった風情である。墓地の入り口にはよく六地蔵が祀られていて、赤い前垂れと赤い帽子が着せられている。六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)にあって、苦悩を救済する地蔵菩薩である。その六体の地蔵の冠る帽子に朝日が移っているのを、墓参りの行き返りに感じたのであろう。その時間に日の移ろいを見逃さなかったのは作者の妙といえる。季語「冬帽」(冬)。

銀杏散る平方根のおぼえ方          和夫

 銀杏黄葉(いちょうもみじ)の落葉がさり気なく風に舞っている。街路樹のその舞い方は果てしが無いほどだ。平方根、例えば√2=1.41421356・・・、の具合だ。一夜一夜に一見頃、と覚えたはずだ。ルート(√)が銀杏の葉に見えてきたぞ。季語「銀杏散る」(秋)。

石塊に乳房(にゅうぼう)小春の考古館    岡本哲典

 古代、女性の体に似た石ころに乳房を描いたのか、子孫繁栄・五穀豊穣を祈り祀ったものだろう。考古館は古代の文化を偲ぶ縁(よすが)となる。ガラス張りのひんやりとした館内に窓から時おり木漏れ日が差す。初冬のつつがない一日。季語「小春」(冬)。

チェ・ゲバラの髭なり昼がしぐれゆく     岡本亜蘇

 ゲバラは革命家で、キューバ革命に名を馳せる。ゲバラのヒゲは髭(くちひげ)ではな鬚(あごひげ)が印象的である。彼の行動はカリスマ性充分であり、嘗(かつ)て日本の学生運動家に崇(あが)められた。今は遠いゲバラ亡き後、昼下がりの時雨にある種の感慨を抱く。季語「しぐれ」(冬)。

ピオーネを一房入れて箱閉じる        曽田幸二

 ピオーネは粒の大きい葡萄で高級品である。一粒でも食べ応えがある。その一房を都会に住む子供に、援助物資とともに箱に詰めたのだろう。幾つになっても子への思いは永遠である。季語「ピオーネ」(秋)。

蘆原(あしはら)に私の風を見失う      東英幸

 蘆は丈が高く、川辺に大群落を作る。風に揺れる音はやや荒々しくせつない。その蘆原に居る私に触れた風は何処に行ったのだろう、消えてしまった。刹那(せつな)である。荒涼たる景色が見えるばかりだ。「私の風」の持つ情緒さは観念的ではあるが、そこにこそ詩があると言えるのである。季語「蘆原」(秋)。

(東英幸 記)

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