まいぷれ五・七・五

(撮影:和夫)
2020年7月の「無人駅句会」は11名が参加しました。今回は東氏が選句した11句の俳句をご紹介いたします。
青葉木菟はフクロウ科の夏鳥。わりと人里に飛来してくる。鎮守の森などでホーホーという鳴き声をよく耳にする。この句、「森」「神」「青葉木菟」と句材が揃い過ぎた感は否めないが、五・七・五の音節にうまく納まっていて、音としてもリズム感があり心地よい。そつのない句である。が故に、手練れ(てだれ)感はつきまとう。また、類句も多々あると思う。
「アボカド」は季語ではないが、「夏」らしい季節は感じさせてくれる。掌に納まるくらいの大きさで、程良い重量感がいい。「森のバター」と賞されるほどで、旨いです。さりげなくスッキリとした詠みっぷりがいい。「かな」も効いている。
はたしてこの夜稽古は何の稽古だろうか。学校の体育館などでの学童たちの剣道の稽古はよく目にする。開け放たれた窓からは張りのある強い声が響いてくる。夜空には、梅雨半ばの晴れた束の間の月が美しい。僕は、花街の置屋あたりから流れてくる三味の音(ね)をも想像した。梅雨半ばの暑苦しくもなく涼しい梅雨の月の掛かる小部屋で、縁側も格子の入った小窓も開け放たれて、芸妓が舞妓に三味の稽古をつけている。小庭から山梔子(くちなし)の花が匂ってくる。こんな粋(いき)があってもいいだろう。
夏の代表的な庶民の食べ物のひとつが冷奴だ。それは江戸時代から揺るがない。絹ごし派か木綿派に別れるが、また両派もいるが、僕は木綿派で、一丁丸ごと薬味を乗せて崩しながら食べる。この句、作者はよほど冷奴の好きな御仁とみえる。そしてこの御仁は絹ごし派とみた。絹ごしでないと「めり込め」ない。
この粽は姉の手作りなのか、故郷から遠く離れた地にいる弟(勝手に決め込んだ)に気持ちを込めた贈り物だ。坂本龍馬の姉のような気骨のあるお姉さんなのだろう。僕が粽を初めて食べたのは成人してからの話しだ。笹の葉にくるんでい草で縛ったものなんて縁がなかった。子供の時分、端午の節句といえば柏餅だった。しかも、「柏」ではなく「サルトリイバラ」の葉で包んだものだった。この句、姉の一言の添え書きに思いが至る。
先にも書いたが、冷奴は一般の食卓に普通に上る。主の酒の当てにでも出したのだろう。ところがどうだ、箸置きから箸が零れているではないか、連れ合いは気付いていない、雑と言えば雑。しかし、熟年夫婦ではこの位は日常である。ご時世、主が益々小者になっていく。
高台にある館に南風が吹いた。屋根の上の風見鶏がそれを指し示した。参考だが「南風」は夏の季語で、「白南風(しろはえ)」「黒南風(くろはえ)」も夏の季語にある。この句、神戸北野の「風見鶏の館」を思う事に異論はないであろう。句意はそのままだが、ちょっとした清々しさは感じられる。ちょっとスキップしたくなる。
なかなかリズミカルでおかしみがある。五・七、と話し言葉で綴ってきて「初蝉は」で締めて期待感を抱かせる。軽妙俳句は和夫の真骨頂。
新聞に出てもおかしくない程の虹とはどんな虹だろう。嘗て、見事な二連虹を見た事がある。写真に撮って現像に出したら、店主が「私も欲しいので焼いてもいいか」というので、「どうぞ」と許した。ところで、虹の色を言えますか。赤・橙・黄・緑・青・藍・紫、です。
確かにごもっとも、しかし、早乙女は今も昔も田植えの神事にしか登場しないだろう。
昔は田植えの時期、神事での早乙女をなりわいにしていた女性もいたらしい、とか。紺絣(こんがすりの着物)、赤襷(あかだすき)、白手拭(しろてぬぐい)に菅笠(すげがさ)という装いで、田植え唄の調子に乗って田植えをするのである。
音楽堂からは開演に備えての調整の音が聞こえてくる。音楽堂は公園の中にあって、叢(くさむら)も森もあり、自ずと(おのずと)蛇もいる。昨日、その音楽堂の辺りで蛇に出会ったのだ。今日はコンサートの日。昨日の蛇が頭をよぎった。切符はしっかりと握り締めている。会いたくはないが会ってみたいとも思う。蛇も音楽に興味を持っているかもしれない。音楽も蛇も昔から神聖なものであるから。
(東英幸 記)
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