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まいぷれ五・七・五

「無人駅句会」10月だより

(撮影:和夫)

 10月の「無人駅句会」は8名が参加しました。今回は東氏が選句した7句の俳句をご紹介いたします。

秋の風五年一組吹き抜ける  和夫

 何処か廃校になった小学校を想像した。廃校になった校舎は地域興しで、レストランとか物産即売所・コンサートなど多様的に見直しが図られている今日ではある。そんな校舎もクラス、組の入った掛札は当時のままである。その掛札が風ある度に小刻みに揺れているのだ。五年生と言えば、骨格も言動もしっかりとしてきて、小学生の中核を成す。五年一組の掛札は、その小学校の歴史そのものであろう。爽やかな秋の風が否応無しに郷愁を演出し続ける。

爽やかな髪に仕上げてもらいけり  曽田幸二

 爽やかな髪とはショートカットの髪型か。なにかもやもやを吹き飛ばすためか、単に季節の変わり目だからか。兎に角、頭皮に秋風が心地よい。髪だけでは無く、気分も極上に仕上げてもらったのだ。颯爽と街にお出かけ下さい。

曼珠沙華の世界に入りて歩きけり  岡本哲典

 畦道ではなく、一面敷き詰められた曼珠沙華のエリアに入り込んでしまった作者。死人花(しびとばな)とも言われる曼珠沙華だ、おどろおどろしい世界を思ったかもしれない。壮絶な赤の景色だ。ふと幻視の世界に入った錯覚はあるだろう。歩くのもいいが、でも歩ききってはいけない。帰り道がないのだ。

夏風邪の抜けてゆく日の便りかな  岡田敬子

 夏風邪は永く続くことが多い。じくじくして不愉快だ。夏には厄介な代物である。ある日すーと鼻が抜けて不愉快さも消えた。そんな日の親しい友からの便り、メールではなくて手紙もしくは絵はがきだ。綺麗な字もいいが、癖のある字も心持ちが伝わってきてほっとさせられる。

置かれたる鞄ぐにゃりと秋の昼  東隆美

 置かれた鞄がぐにゃったところでどおって事ないが、なんとなく何処か秋の日の倦怠感が匂う。「置かれたる鞄ぐにゃりと」が「秋の昼」の比喩的表現だとも読める。季語「秋の昼」の感傷力がものをいった。

十六夜や仕事着のままで来る長子  熊本妙子

 十五夜の翌日、農作業の後だろうか、仕事着のままで実家を尋ねた長男。不意の訪問ではあるが、母親としては何処か嬉しいものなのだ。長子という言い方が落ち着いてきた年齢を暗示させる。

指入れる青蜜柑という香り  東英幸

 黄色く色づいた蜜柑と違って、青蜜柑は指を入れた瞬間に強い香りを放つ。弾けんばかりの青蜜柑の瑞瑞しさ、果汁が顔に飛び散ってきそうだ。この句、「指入れる」が手柄ではあるが、その臨場感が間髪入れず緊張感を引き出しているのだ。

 

(東英幸 記)

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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