夜は、2か所でトランプバクチが毎晩行われます。タバコ一本のレートが決まっていて、刑務所の外で決済されます。外に関係者がいる者しかできません。
外には面会や手紙、何らかのルートでその結果が知らされます。金の決済は外でされます。したがって刑務所の中にいる間に負けがこんでしまって、釈放されて外に出ても借金が増えているだけです。
香港のような狭い地域では逃げられません。したがって再犯が多いのではないでしょうか。
香港のビクトリア公園で、ある時その現場を目撃しました。
私が香港刑務所の中でよく見かけた囚人の一人が、ビクトリア公園の片隅で老人相手にバクチをやっていました。そこを香港警察によって急襲されました。
かけ子は上半身を脱がされ、しゃがまされて、ポケットのものを全部前に出させられていました。
バクチをする囚人は大概は生活力がありません。バクチで捕まって刑務所に入り、そこでもバクチをして借金だらけになって出てくるわけですから。シャバとオリの中を行ったり来たりのメリーゴーランドです。
又同じバクチの罪で逆もどり、そんなことを一生繰り返しているのではないでしょうか。バクチへの依存症はグルグル回転し伝染していくものなのか。メリーゴーランドに乗ってはいけません。しかもバクチのシステムは、マフィア組織の上下関係の収奪になっているのです。
刑務所の管理は、囚人への監視と配慮が最重要課題です。暴動がおきてきたり、抗争が起こらないとは限りません。バクチをやらせる代わりに、私ら(刑務所側)の体面はつぶすなという暗黙のルールがあります。
自分のお金で一週間1回は買い物ができます。夕方、注文した商品の入った段ボールが到着すると、それを一人ひとりに配る人達がいます。看守の目を盗んで、その品物をすばやくフロアーを滑らせて一瞬の間に相手に届けます。自分のお金で買ったものが来ないからといって看守に告げることもできません。刑務所の内のマフィアのボスには必ず、ボディーガードが10人位ついています。柵の内でも搾取は続きます。マフィアにとっては力の誇示となります。
何かのときに一瞬もめ事が起きました。すると10~15人が突然立ち上がって、相手を威嚇する挙に出ました。もう一方のグループは、寄せ合わせの悪でしたが身構えました。
すぐに看守が机に上って大声を張り上げて双方を座らせて、鎮めました。
日曜日は、食事の大部屋で過ごします。その時、私服の人が2~3人入ってきます。
彼らはオンブズマンです。服役者一人ひとりに相談に乗ったり、カウンセリングを行っています。
房内でのいじめや虐待がないかをチェックしています。
手紙の封書・ペーパー・切手を渡しています。また、家族に電話をさせています。特に外国から来ている囚人に丁寧に応対していました。
権力の犯罪が一番厄介なものです。
告発制度や情報公開制度があってもこれを利用する人は少ないのです。刑務所の中であっても、囚人同士のなかに人権無視やいじめはあります。
これをチェックする第三者機関としてのオンブズマンが香港にあるのです。ごく普通の人の好い香港人が囚人の心に寄り添っている。まさに罰を憎んで人を憎まずを地でいっているのです。
もしかしたら、我が国は人権後進国なのではないでしょうか。こんな制度は日本にはまだまだありません。
しかし、問題はもっと面倒なことです。
刑務所の内で行う作業が収奪の対象となっている場合です。
私が経験をしたランドリー工場の場合はどうでしょうか。
この作業で支払われる賃金は、涙金です。日本の場合もほんの少しです。
だったらランドリー工場の収支はどうなるのでしょうか。ここでの剰余金はどう分配されていくのでしょうか。
日本においても、刑務所の民営化がすでに行われています。随意契約に基づいて行われていると思いますが、ここに大きな利権が発生しているように思われます。
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