1997年暮れには私は日本にいました。深夜に香港からTelがあって、
「今 店の物品が押収されている。これから私ら2名も警察署に連れていかれる」と連絡が入りました。
少したって「取り調べが終わった。金を納めないと釈放されない」とTelがきました。かと言われても、私は日本にいるのだしと困ってしまいました。
とっさに台湾人で日本企業に勤めているXXさんを思い出しTelを入れてみることにしました。
「よし、今から警察署に行ってくる」と引き受けてくれました。香港写楽堂のスタッフによると「社長はいつ香港に来るのか、来たら出頭するように伝えてくれ」と云われたそうです。
1998年1月、香港ワンチャイ警察署に出頭するべく松山から飛び立ちました。
香港についてからまず調べたのは、どんな法律違反でどんな罰則なのかということでした。
香港人に聞くと、大抵の人は皆「大したことにはならない、小切手(check)を用意してお金を払えばすむ」と云ってくれました。
香港人の言葉を全部信じるわけにもいかず、何とか「Obcene Article」のパンフを手に入れましたが、その罰則がどうなのかがわかりません。
1週間ぐらいの航空チケットの滞在なので、出頭することに決めました。
香港人の警察官の取り調べは短かった。やがてイギリス人の上司が来て、「You are under the arrest.」と告げられました。今日本語通訳を呼び寄せているが、ちょっと時間がかかる。待っていてくれと。
やがて女の通訳が来ました。すでに出来上がっていた取り調べ内容の意味通訳だけでした。
すでにワイセツ物品も押収されているし、スタッフからも情報は取れているので私への尋問はほとんどありませんでした。
驚いたことに、調書のコピーを渡してくれました。これは日本ではありえないことです。
保釈金らしきものが呈示されたので支払いました。すぐに釈放です。
私が日本に帰る日を告げると、その二日前に公判を指定されました。
釈放されて、2階から1階に下りてきました。お店で働いているスタッフの処分はどうなるのかが気になりましたので、再びイギリス人上司にとりつぎをお願いするとすぐに現れました。
私がその旨を告げると、彼はすかさず「現地写楽堂スタッフのことは心配いらない、そのかわり、君がこの被疑事実を争わずに法廷で認めてくれ」と念を押されました。
「yes」と云ってくれと。いわば一種の司法取引です。
後に弁護士はこれは司法取引にあたると云ってきましたが、口頭でのやり取りなので、私は問題にしませんでした。
香港の司法警察の意図は、何としても有罪にしようとする目的があるのです。
この事件を「日本のポルノ王」として仕立てて有罪にし、それを大きくフレームアップしてマスコミに原資なるニュースを提供しようとしていたのです。
この時、私にはこれ以後のことについてはまだ十分にはわかっていませんでした。
それで2,3人の在留邦人の友人にどうなるのか聞いて回りましたが、ほとんどの人が「香港は何でも罰金だから、金さえ払えば済む」と云います。
半分は楽観的でしたが、しかし不安もありました。押収されたビデオ(VHS)、ポルノ雑誌はかなり多いのです。
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