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まいぷれ五・七・五

「無人駅句会」2021年6月だより(5月はコロナまん延防止のために中止)

 2021年6月の「無人駅句会」は10名が参加しました。今回は東氏が選句した10句の俳句をご紹介いたします。

(撮影:和夫)

風薫る飜るものみな楽し           東隆美

 初夏の若々しい木々の緑の、香るような心地良い風に吹かれていると、目に入る飜るもの全てを楽しいと感じているのである。木の葉であったり、机上のノートとか本であったり、またスカートであったり、などなど、作者の気分は視界良好。読者も気分を良くさせてくれる句だ。季語「風薫る」(夏)。

字余りのやうな日曜百日草          河野けいこ      

 このコロナ禍の日曜日、何をするでもなくただ時間が過ぎてゆくばかりだ。過ごし方はランダムで自由、そこに定形感覚はない。何かがオーバーラップしたような、定形破りの、字足らずではなく字余りな感じなのだ。百日草は花期が長く種類も多く、花はもこもことした菊のよう(キク科です)であり、どことなく「字余り」の雰囲気がある。この句、「字余り」の比喩は言い得て妙だ。季語「百日草」(夏)。

とんカツをざくりと切るや青嵐        しづか

 昔、ひいきのとんかつ屋があって、そこで出されたトンカツは油の匂いもいいのだが、切り口をみると衣と肉の塩梅(あんばい)が絶妙で、「ざくり」という音を無意識の内に感じていた。青嵐とは、青葉の頃吹くやや強い南風のことだが、包丁の切れ味まで伝わってきそうだ。季語「青嵐」(夏)。

カワセミの話のはずむ男たち         和夫

 カワセミは青い羽を持つ翡翠(ひすい)のように美しい鳥で、川岸から小魚を捕らえる姿を何度か見たが、美しさにほれぼれする。捕らえるのは瞬時で、それを見たことには希少価値があるらしい。そこで男たちは本来の野生本能剥き出しに、大物でも捕らえたかのように自慢話として声高に話すのである。季語「カワセミ」(夏)。

さやさやと人語もれくる沙羅の花       岡本哲典

 「沙羅の花」は「夏椿」のことだというと、頷く人があるかもしれない。白い花である。山あいの沙羅の花の咲く川沿いの村家から人の話し声が聞こえてくる。さりげなく、さやさやとした感じで聞こえてくる。普段のたんたんとした生活を覗いているような錯覚に陥る。「季語」沙羅の花(夏)。

滴りにアンモナイトの潜む岩         日暮屋

 太古の海底から隆起した岩山に、海の生物の化石が数多く見つかっている。アンモナイトはその典型で、僕も小さいのを持っている。嘗て、内子町で一メートル級のアンモナイトの化石を見たことがある。岩から染み出た水は滴りとなり、一服の涼を誘う。口に含むとアンモナイトの味がするかも。そうなれば化石発見か。季語「滴り(したたり)」(夏)。

兄ちゃんに叩かれ僕の夏隣          岡田敬子

 子供の頃、どこの家庭も兄弟喧嘩は日常であった。兄が強いのは当たり前のことだが、常に叩かれていたのか、それは常に夏休みの事だったのか、だったのだろう、夏が来るたびに思い出してしまうのだ。遠き日の思い出として、懐かしくもあり、苦々しくもある。季は夏の色がしだいに濃くなってきている。季語「春」(夏隣)。

細身なる少年少女更衣(ころもがえ)     熊本妙子

 一般に少年少女時代は体系が細身だ。僕が小学生の頃、体系の大柄な女子がいて、その子はなんと県の健康優良児に選ばれたという記憶がある。僕の昔の更衣の記憶は、白い開襟シャツに半ズボン。手足があらわになり細身だったなあ。季語「更衣」(夏)。 

新品のエンデイングノート半夏生       曾田幸二

 半夏生(はんげしょう)は夏至から11日目に当たる日。梅雨が明け田植えが終わる頃とされる。人生終活に向けて、ポジテイブに生きる為にエンディングノートを付けることを思い立ったのだ。躍動する夏に向かって新品のノートを買った。時候は半夏生の頃である、いざ終活へ。人生100年時代だ。季語「半夏生」(夏)。

母象に母の麒麟に霾(つちふ)れり      東英幸

 霾(つちふる)とは黄砂のこと。動物園の景であるが、動物の子供にとって母は絶大である。象も麒麟も草食で優しい目をしているが、心に秘めた強さを感じさせる。子供が安心する所以(ゆえん)である。ある日黄砂がやって来た。母象も母麒麟も大きい。思いっきり黄砂を被っているのだ。どんよりとした空の下子供に寄り添う母親、やがて一日が終ろうとしている。季語「霾」(春)。

(東英幸 記)

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