このオッちゃん、オバちゃんのすごいところは、二階にある部屋に家出してくる高校生を泊めるは、マージャンをやらすは、飯を食わすということを平然とやっていたことです。
高松のド真ん中の線路沿い、電車が通るたびにガタガタと木造の家中に響きます。風呂はどこかでもらってきたマキをくべて沸かします。高校生たちが交代でやっています。
衣料品店ではあるのですが、お客はそっちのけで熱々とかつての中国戦線を語り合うのです。
この頃は、戦死を免れて帰国した人たちが多かったのでオッちゃんの家に集まります。そして北朝鮮やベトナムへの義援金を託すのです。そして中国戦線での想いや反戦を語ります。
ある時オッちゃんに「こんなことしてたら商売にならんのとちがいますか」と云うと、そんな心配はいらないというのです。
まだまだオッちゃんはえらいことをしています。オッちゃんとこの居心地の良さを楽しんでいる間に、進学・就職につまずいた人の世話までやっています。日中友好協会(高松)をつくっていたから、日中交易会からお酒を仕入れて売っています。トラックがないものだからリヤカーに載せてそれを売りに行く大学生がいました。
オッちゃんオバちゃんの息子は今、日本歌人クラブの四国ブロック幹事となっています。オバちゃんも息子も歌人です。
私は大学への思い入れより、この御一家への愛着のほうが強い。
今、この人達が生きていれば、ロシアのウクライナ侵攻をどう考えるでしょうか。
詳しいことはインターネット上で「稲たつ子インタビュー」として今も載っています。
1970年頃このオッちゃんは、私が未決で中野刑務所にいたころ、面会にも来てくれました。
私が出獄して高松に帰ったときも、夜中に高松駅で出迎えてくれました。
「あなたが捕まっている間、私らも大変だったのですよ。あなたがいなくなった後、家の周りを警察にとり囲まれてしまったんよ」と話したのは今も覚えています。
この人ほど自らの経験とそれにもとづく強い反戦の意志を持っている人にはお目にかかれません。
こんな人のいいオッちゃんオバちゃんにも、××派は「上映チケットの売上何%をよこせ」と云ってきたらしいのですが醜悪です。市民MOに乗っかかり、加入し、一本釣りで党員を獲得することが党建設です。
まだ自己の党を持っていない私でしたが、この事件のことでそんな党には入りたくない気持ちになりました。(××派さんすみません、こんなことをバクロしてしまって)
この二人に大変なことをさせてしまって、それでも楽しかったと後で言ってくれてます。
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