第16章 松山の古本屋はどうなっているんだ 4 写楽堂のふしぎ ― あけるしめるを16回 4
写楽堂
松山の古本屋の中で私ほど「あける・しめる」をしたものはないと思います。
店を開けてはほどなくしめて移動していきました。
その数は、20数店舗を約25年にわたってくりひろげたのです。
砂漠の中で暮らすベトウィン族のように移動をくり返していったのです。その仕事量は多い。残った本で売れる可能性のあるものは、次の店へ持っていかなければいけない。本箱を外して運ぶのは大変です。
考えただけでもいやになる。いやになるが、覚悟を決めて運搬をしてきました。値打ちのある本はなかなか売れるものではない。かといって、安く売ってしまうのもいや、となります。
松山という田舎町では大学が少ないし、研究者も少ない。なかなか売れない本はしたがって残ってしまう。残った本は捨てるのもしのびない。まして、資料的なもの、古書はおいそれとは売れない。写楽堂の倉庫は乱雑極まりないものでした。
その理由は何だろうか?
流浪する古本屋と云って良いと思います。
立地のいいテナントは、それだけに毎月の家賃が高い。
郊外のほうが安い。ロードサイドにあって駐車場があるところは家賃が高い。
その中間、高いと安いの間におちつくが、最初のうちは良いが、そのうちライバル店が近くにできてアウトとなるのです。
競合がおきてくるだけでなく、商品のカテゴリーキラーがあらわれて売り上げがとられてしまうのです。
ゲームソフトのカメレオンさんなどでありました。
かくして写楽堂はさすらう。
そこに居れなくしてしまった爆撃の張本人はフランチャイズのBook-offであった。
トドメを刺されました。同業者の競合とカメレオンさんによって。
福音寺店、天山店、駅前店、千舟店、清水店、山越店、東長戸店、平田店、逐次撤退しなければならなかった。
だけど敗れた気持にはならなかったのです。したがって残念な気持ちもおきてはきませんでした。
なぜか。それは私が目指していた「明るい古本屋」はブックオフによって引き継がれているからです。
この点では私の方が先覚者、パイオニアであったと自負しています。
新しい担い手があらわれてきたのは、むしろ社会全体から見れば良いことです。
もうブックオフさんに、古本屋の社会的、商業的使命はまかせておけばいい。
長らく頑張った、写楽堂さん!ごくろうさまと自らに言おう。
時代はめぐるにめぐっている。新しいものも古いものもです。最近のツタヤがそうではないでしょうか。もはや一回一回店舗に行って、CD・DVDを借りて、又返さなければいけないシステムは古いものとなりつつあります。
携帯やテレビから直接レンタルできる時代となりました。アナログ商品を買って保管するのは、そこで使う什器だけでも大きな場所を占める。
携帯一台さえあれば、音楽が聴け、ニュースが見られ、映画が見られる時代になっています。
生活がシンプルとなっている。あとは衣服、ベッド、食事だけが残っているのです。
食事も私がまんが喫茶をやっている時(約20年前)は、地元のコーヒーメーカー卸業者が冷凍食品を良く売りにきました。しかし味の点でイマイチのことがあって、できるだけ素材から手をかけてオリジナルをつくってきました。ランチ、ハンバーグ、カレーはオリジナルを作るのだから人件費がそれだけかかってきます。原材料を仕入れてくるのも手間がかかります。
体が疲れてしまうほど働いても働いてもわずかの利益しか出てこないことを7年間やりました。
しかし今コンビニをのぞくと、スーパーをのぞいてもほとんどが食品会社の開発した袋入りの冷凍食品だらけです。
20年前はレストランで使っていたこれらの冷凍食品が家庭の中に進出し、あふれています。
若い人たちの生活様式は大きく変わってきています。室内にはベッドと服しかない。昔見たことのあるテレビやレコード、本を見たければ、博物館に行くしかない。部屋から外に遊びに行くのもスポーツ観戦、あとはグルメ。友人も要らない。ショッピングはネットで行うから、松山の繁華街の大街道や銀天街にも行かない。
あ~こんな社会に少しずつなっているのだから、古本屋がやれるわけはない。
- 営業時間外09:00〜18:00
詳細
- 日曜日 定休日
- 月曜日 09:00~18:00
- 火曜日 09:00~18:00
- 水曜日 09:00~18:00
- 木曜日 09:00~18:00
- 金曜日 09:00~18:00
- 土曜日 09:00~18:00
日曜日休業(年末年始除く)
※実店舗での販売は(月)~(金)11:00~16:00
基本情報