香港は限定された場所です。そこではいつ看守は外に出て行った元囚人や組織の人に出くわすかわからない。非常にきびしいところです。ですから、看守といえども暴力をふるったり、大声でどなったりすることはできません。仕返しが怖いのです。
香港マフィア以外の普通の香港人もいます。ワイロでつかまったとか、交通事故案件で入獄している人もいます。
その人からは何回も声をかけられました。石けん、歯ブラシはちゃんとあるかとか。困ったことは何もないかとか。
私がワイセツ法違反、日本のポルノ王だということが新聞報道で知られていましたので、彼らは友好的でした。
「ある晩日本のフーゾクを教えてくれ。どんなサービスがあるのか、日本のどこに行けば良いのか」を聞かせてくれと、頼まれたことがあります。
私はこうなるとエンターティナーになってしまわないと、その場がおさまりません。何しろ日本のポルノ王ですから。
私の英語力では、十分な説明ができません。そこでたくみに手ぶり足ぶりで表現し、みんなをエキサイトさせることに成功しました。みんながもうすでに知っていることであっても、表現し、リアル感を持たせることが必要です。ここでも私は面白い話をする人だと喜んでもらえました。
英語がわからない香港人には、同じ香港人が同時通訳してくれました。
この晩は10名程集まってもり上がりました。
更にもう一つの生徒グループ6~7人がいました。夜、私に日本語を教えてくれと云ってくる人たちです。中国内地の朝鮮族密出入国者です。彼らは東北部三省出身だと云っていましたが、はっきりとはわかりません。香港にきてから、韓国系の偽パスポートを手にして日本に入国する際に発見されて、送り返されたそうです。彼らは日本入国の審査で見破られ、出発地香港空港に移送・逮捕されたそうです。4~6か月働かされ、満了になると、中国国境・ロフーで中国警察に再び逮捕されて罰金を払うそうです。
何故日本語を勉強したいかと聞くと、日本で働いてお金にしたいからです。国元に帰ってお金を手にしたら他のルートで再び日本に入るというのです。
同じ囚人のよしみで日本語教師となることにしました。
驚いたことには、彼らが持っていた「日本語練習帖」なるものが、1945年以前のものでした。2名程は、初級日本語は勉強しているようでした。この人は、中国内地の日本企業で働いたことがあるそうです。
「ひらがな」アイウエオから教えていきました。
何しろ刑務所のなかですから、タバコ1本が月謝となります。刑務所から釈放時に支給される報酬はわずかですので、タバコやお菓子は内では買えません。釈放されて中国領内に入っても、政府からさらに金をとられ、生地に帰ります。そこで帰る道中でも中国領土内のあちこちで働きながら生地にたどり着くのだそうです。
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