まいぷれで綴ってきた『写楽堂物語』が本になりました！
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二番目の問題は、運動から遠ざかり、廃品回収業に取り組んだ時である。1977年頃のことである。
もともと、権力に盾突くことはほんとうにしんどいことである。これだけで大きなストレスを抱えてしまう。
それだけではない。ぐうの音を上げてしまう自分への怖れがあった。もう自分がやれることはこれが限界であると思っても、頭の中のシステムはマルクス一辺倒である。
したがって寝ても覚めても、同じ考えが反復されてくる。夜寝られない状態がずっと続いていた。
チリ交という仕事をしていても、いつもいつも考えることは同じである。
まあ、今から考えれば、失意や失職、破産にあった人々も同じようなストレスを受けてはいると思うが…。
このストレスへの処方箋は私にはなかった。あったのは「この問題は大きすぎて、この私では今は解決できない」という事実を受け入れることであった。

この時の私の精神は、二つの相反するものがぶつかり合ってどちらにもいけないという結果、分裂する自我の内在化が進んでいたことになる。
だが「うつ状態」であったことが、通常の判断力を喪失していたということにはならない。進むか退くかの場面であっても、責任ある行動は誰しもとっている。ここで云いたいことは、人生の場面が大きく変化していくときにもリスクとメリットを考えて決定していくものだということである。もう自分がいくら頑張ってもできないという結論が出た以上、私にできることは何か仕事を見つけて金を稼ぐことであった。
それが廃品回収業であった。